組合長165人が“辛口”評価 JA上部団体の通信簿#4Photo:JIJI

JAグループで商社機能を担うJA全農は、農家の所得向上の鍵を握る組織だが、農協関連事業を強化したい農協からの期待には応えられていないようだ。全農との取り引きを、農業資材を扱うコメリに切り替える農協が相次いでいるのだ。特集『組合長165人が“辛口”評価 JA上部団体の通信簿』(全17回)の#4では、農協役職員アンケート(有効回答数434人)の結果に基づき、全農に対する農協からの支持率や“辛口”のコメントなどを大公開する。(ダイヤモンド編集部副編集長 千本木啓文)

農協幹部から抜本改革を求める声
「全農は、県組織をブロック別に統合せよ」

 ダイヤモンド編集部は、農協の役職員にJAグループの上部団体への評価を聞く「農協役職員アンケート」を実施した。同アンケートは、(1)全国に約500ある農協の法人登記に代表理事などとして住所の記載があった農協の組合長、会長らにアンケート用紙を郵送、(2)インターネットで広く回答を募集――という二つの手法で行い、合計434人から回答を得た。

 ダイヤモンド編集部は、農協役職員アンケートに基づき、JAグループの主要12組織(JA全中、都道府県の農協中央会、JA共済連、農林中央金庫、JA信連、JA全農、JA経済連、日本農業新聞、家の光協会、JA全厚連、全国農政連、みのり監査法人)の支持率を算出した。

 JAグループ全体の課題になっている、農家の所得向上への貢献や、農協の農業関連事業の黒字化を実現するために、全農は鍵となる組織だ。しかし、アンケートの回答を見る限り、全農が農協からの期待に応えていないことは明白だ。

 全農への期待値低迷の元凶の一つとなっているのが、農協が肥料などを売る購買事業である。生産資材を扱う店舗の改革において農協が頼るのは、全農より、ホームセンターのコメリになっているのだ。例えば、JA山形おきたま、長野県のJA上伊那、三重県のJA多気郡やJA伊勢では、農協が扱ってきた肥料などをコメリで販売するなどの提携を行っている。

 全農は、JAと共同運営する生産資材店舗「JA-CAT」を展開するが、「出店数が限られ、コメリの勢いに圧倒されている」(JAグループ全国組織関係者)。全農が扱う肥料などの価格がホームセンターより高いことはかねて指摘されてきた。だが、農協が雪崩を打ってコメリとの提携に走り始めた現状は、まさに「全農不要論」に直結しかねない非常事態だ。

 次ページでは、全農に対する農協からの支持率や“辛口”のコメントなどを大公開する。

 なお、前述の通り、全農は農協改革にとって重要な組織であるため、本特集の#8『JA全農・主要15部署への「農協役職員の支持率」ランキング!2位は畜産部門、1位は?』(5月19日公開予定)では、部署別の支持率やコメントを公表する。