
JAグループの代表として君臨してきたJA全中や都道府県中央会が存続の危機にひんしている。特集『JAグループ崩落』の#10では、農協役職員アンケートで、期待する農協組織を挙げてもらい、作成したランキングを公開。中央会への期待が低迷している理由と、組織の改廃を含め、農協から望まれている組織改革の具体策も明らかにする。(ダイヤモンド編集部副編集長 千本木啓文)
JA全中のシステム開発失敗200億円損失が
農協中央会“組織改編”の契機となる
JAグループには、保険会社や銀行、商社などの事業を行う複数の上部団体がある。問題は、そういった事業を行う連合会が、地域農協に事業目標を割り振る“上意下達”の営業推進体制になっていることだ。
事業を行う上部団体は基本的に自組織の収益のことしか考えない。そこで、JAグループ全体の方針を決めたり、グループ内に横串を刺した政治活動や広報活動を行ったりする組織が必要になる。
JAグループでそういった機能を担ってきたのが、全国組織のJA全中(以下、全中)と都道府県レベルの農協中央会(以下、県中)だ。両者は、農協法で特別に農協に対する監査権限を与えられていたので、農協を従わせる権限の強さは絶大だった。
ところが、である。2015年の農協法改正で、全中や県中から監査権限が剥奪された。実は、農協は全中や県中が強い権限を持ち采配を振り続ける必要があるとは考えていなかったため、法改正に強く反対しなかった。
結果、全中や県中は権限を失い、影響力は低下した。
次ページでは、農協役職員アンケートの結果に基づく農協役職員が期待する農協組織ランキングを公開する。さらに、全中や県中への期待が低迷している理由と、組織の改廃を含め、農協から望まれている組織改革の具体策も明らかにする。