
ダイヤモンド編集部の担い手農家アンケートで、農業界最強の投資家が浮かび上がってきた。アンケ―ト回答農家からの高評価を得ている農業系ベンチャー企業3社に出資している米卸、ヤマタネだ。特集『儲かる農業2025 日本の夜明け』の#9では、ヤマタネの河原田岩夫社長に出資の狙いや今後の課題を聞いた。(ダイヤモンド編集部副編集長 千本木啓文)
産地、大規模生産者の課題をベンチャーと解決して
コメ不足の時代もヤマタネに出荷してもらう!
――ダイヤモンド編集部が、担い手農家アンケートの結果に基づいて作成した、農家が「期待する農業参入企業・農協組織」ランキング(詳細は本連載の#3『農業のAI・DX・GXで農家から支持される組織ランキング!NTT躍進、JA・三菱商事・トヨタは?最新「業界勢力図」を大公開』参照)で、3位のグリーン、9位のNEWGREEN、11位の日本農業に、ヤマタネは出資しています。
ヤマタネは「産地の続く」を支えるというのを存在意義として掲げています。産地が作り続けてくれないとわれわれのビジネスは成り立ちません。産地の持続性を支えるためにどうするかが、全ての発想の原点になります。
稲作の生産者は2020年で平均70歳。今は73歳ぐらいでしょう。高齢化で、コメの供給能力にバッファーがなくなっています。米価が高いから、25年は主食用米の生産量が増えて値段が下がるという見方がこれまでの常識でした。でも、70歳を超えた人が、米価が上がったから「よし、頑張るか」と、面積を広げ、農機を買い足すでしょうか。供給サイドの弾力性がない状況は当面続くと思います。
だから、ベンチャー企業と、100年の歴史と産地とのネットワークを持つヤマタネが共に産地の困り事を解決する必要があるのです。ダイヤモンド編集部の調査で、当社の出資先が生産者から支持されていると聞き、(出資先は)僕らと同じ戦略を取っているのだなと改めて思いました。
――出資先とのシナジーで、米卸のビジネスをどう変えていきますか。
次ページでは、河原田社長に農業ベンチャー各社への出資の狙いや、米卸のビジネスをアップデートする野望を語ってもらった。