データで読み解く外国人窃盗団
「トクリュウ」の可能性はあるのか

 警察白書を読み解くと、来日外国人犯罪は増加傾向にある(図表4-14参照)。

図表4-14『令和6年警察白書』より抜粋 拡大画像表示

 また、下の図表を見比べてほしい。ベトナム人による犯罪は22年から23年にかけて、万引きの件数が減る一方、侵入窃盗が1000件以上も増えており、より凶悪な犯罪に移行している可能性を示唆している。

 このような傾向を踏まえると、店舗や工場、倉庫、会社施設に対する侵入窃盗や強盗などが増加する可能性を秘めている。企業は、より警戒しなければならない状況になっている。

 今後、外国人窃盗団による犯行が、万引きから侵入窃盗や強盗に移行する可能性は否めない。また、匿名流動型犯罪グループ(いわゆるトクリュウ)による個人宅や貴金属店を狙った強盗・強盗殺人・致傷事件が続発している。

 日本企業では往々にして、情報は強固なセキュリティシステムで守るのに、社員がいる職場のセキュリティは甘い。闇バイトによる人命軽視の犯罪が横行している現状を踏まえると、店舗における万引き対策はもちろん、会社施設の安全管理、セキュリティ対策も見直す必要がありそうだ。

 犯罪は最新ツールやトレンドを受けて変化しているのにも関わらず、日本は治安が良いという固定観念にとらわれてか、人命に関わる防犯対策の費用や意識が変わっていない。カスタマーハラスメントも社会問題化しているが、カスハラで社員が暴行を受けるケースもある。今一度、社員の安全確保について見直すことも、企業として重要な危機管理だろう。

 なお、本稿はベトナム人を差別するものではない。冒頭で記したとおり日本政府が積極的にベトナム人を技能実習生として受け入れた結果、多くのベトナム人が貴重な労働力となっているが、技能実習生の失踪者が過去最高の9700人に増えていて、その大半をベトナム人が占めていることが背景にあるのを最後にもう一度、伝えておく。