そもそも市街地では先行車や対向車がいるのが当たり前です。市街地での横断中歩行者の死亡事故なら、ロービームで走っているのが当たり前です。その事故の数まで算入していたら、あまり正しいデータにはなりません。その事故の際の速度はどうだったのか？ドライバーはよそ見をしていなかったか？ などが明確に調査されず（調査が難しい）、ロービームが原因と短絡的に解析しているところに疑問を感じます。
また、事故の責任は全てクルマ側なのでしょうか？横断歩道に明るい照明を付けるなども必要ですし（これは道路管理者、つまり行政などの問題）、歩行者も夜道では反射材を身に付けるなど自己防衛も大切です。
オートハイビーム義務化も
動作は完璧ではない
ハイビームを基本としたことで普及している機能が、オートハイビームです。20年4月以降に製造された新型車はオートハイビームが義務化されました。オートハイビーム搭載車は、先行車や対向車がいる時には自動的にロービームになる、配光を制御する機構（アダプティブヘッドライトなどと呼ばれます）が備えられています。
オートハイビームやアダプティブヘッドライトが完璧に動作し、先行車や対向車がまぶしくないようになればいいのですが、世の中そうはうまくいきません。制御が甘い車種やメーカーが存在し、まぶしいままであったりするのが実状です。
Photo:PIXTA
明る過ぎ！拡散する！
LEDヘッドライトが増加
また、ヘッドライトの光源による違いもあります。最近のクルマはLEDヘッドライトが増えています。家庭用の照明で、LEDライトが明る過ぎるから、わざわざ電球色のLEDライトを買う人もいるでしょう。光の色の性質は、色温度という数字で表されます。色温度が高いほど青白く、低いほど赤っぽい。電球色は3000K（ケルビン）程度ですが、ヘッドライトのLEDは6000Kくらいのものもあります。
やっかいなのは、色温度が高くなると空気中のチリや水蒸気で拡散しやすくなることです。本来、LEDの光はフィラメントの光よりも直進性が高いので、光軸からズレたところには当たらず、クッキリはっきりしているものです。が、拡散してしまうと光軸からズレたところでも目に光が入り、まぶしさを感じるのです。
