
金利上昇、円高、さらにはトランプ関税の発動――。新年度相場を前に日本株は荒れ模様だ。一方、外部環境は厳しくても、日本企業の業績は過去最高水準であり、株主還元の強化など好材料も少なくない。果たして個人投資家は新年度相場でどう動くべきなのか。特集『反撃の日本株! 新時代の最強株&投資術』の#1では「元手65万円から資産160億円」を築いた片山晃氏が、波乱相場を勝ち抜く秘訣や2025年度に注目する業界、さらには具体的な企業名まで告白したロングインタビューをお届けする。(聞き手/ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)
金利上昇や円高は逆風だが
日本株独自の強い要因に期待
――2025年度の日本株をどうみていますか。「トランプ米大統領による関税発動」の影響もあり、日経平均株価は2月末から急落。ボックス相場の下値水準の3万8000円を割れました。
3月の期末にかけての配当取りや、自社株買いなど株主還元の強化が下支えすることで、本決算が発表される4月末まで日本株は強いと考えていました。ところが、最近は「春の山の高さ」が低く修正されてきていると感じています。
「トランプ関税」の影響だけでなく、日本の長期金利も想定以上に上昇してきています。この上昇スピードは、おそらく誰も考えていなかったと思うので、今後、投資家のポートフォリオにどういうふうに反映されてくるかをよく考えないといけないと思っています。
長期金利の1.4%という水準は約15年ぶりです。前回は金利が低下局面でしたが、今回はマイナスまで行った後、戻っている局面です。その意味では、どこまで行くか分からないという状況だと思います。
実体経済や投資家の行動に反映されてくるのには時間が必要です。後から悪い話が出てくるような状況になるかもしれません。
――日本株について下方向でみているということですか。
3月期決算企業の25年度の期初予想は、為替前提を1ドル=140円台前半に置くなど保守的に出してくるでしょう。会社予想が弱いことで失望売りが出る「ガイダンスリスク」で、いったん下落する可能性は否定できません。
夏には選挙がありますが、それも不透明要素になります。秋口ぐらいまでは弱く、年末に向かって上がっていくイメージです。

念のために丁寧に説明すると、「円高や金利の上昇で経済が壊れる」などと思っているわけではありません。日本の企業のバランスシートはきれいですし、家計にはいっぱい預金があるからです。
私個人としては、金利が上がった方がむしろ消費が良くなるのではないかと本気で思っている部分があります。円高についても、本来は自国通貨が強くなることをわれわれ国民も望んでいるはずです。けれども、株式市場がどう受け入れるかは、また別の話ということです。
今後1年程度の日本株は、やや下方向のレンジ相場が継続しそうだとみています。投資家的には面白くない展開ですが、一方で日経平均が3万6000円を割れて、それが定着するようなことが、そう簡単に起こるとも思っていません。
指数に期待はしていないですが、日本株独自の強い要因があるからです。25年度は、身構えつつも独自成長が見込める個別銘柄を厳選してリスクを取る局面だと考えています。銘柄選びでは「多少の逆風であれば数量は増やせそうな会社」がポイントになるでしょう。
日経平均など「指数は強くない」と分析しつつも「日本株には独自の強みがある」と強調する片山氏。果たしてその強みとは何か。また、片山氏が注目する業界、さらには企業も具体名を挙げて解説する。