反撃の日本株! 新時代の最強株&投資術#12Photo:Bloomberg/gettyimages

2025年初から急落している半導体製造装置セクター。生成AI関連として脚光を浴びる一方、中国リスクの台頭が逆風となっている。「買い場到来」か「落ちるナイフ」なのかについて専門家の見方は分かれているが、データセンター需要は底堅く、中長期での期待感は強い。特集『反撃の日本株! 新時代の最強株&投資術』の#12では、海外勢の動きも分析しつつ、半導体製造装置セクターの今後を分析。値動きが激しいセクターだけに銘柄選別も重要になるが、米エヌビディアよりも期待できる企業とは?(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)

25年初から大きく調整したが
生成AI向けの需要は堅調

 2025年初から「半導体関連株」の調整が続いている。25年初から4月7日までTOPIX(東証株価指数)も17%調整しているが、東京エレクトロンは30%、レーザーテックは46%とそれ以上に下落している。

 34年ぶりの日経平均株価の高値更新をけん引し、生成AI関連としても脚光を浴びている半導体セクターに何が起こっているのか。

 もともと半導体セクターはベータ値が高く、業績も株価も上下に振れやすい。トランプ米大統領の政策による中国売上高の消失や中国DeepSeekの台頭、生成AIへの懸念など不安材料も山積している。このまま低迷してしまうのだろうか。

 だが、モルガン・スタンレーMUFG証券の和田木哲哉シニアアナリストは、半導体セクターについて強気の姿勢を崩さない。

「中国市場が厳しいのは事実だが、生成AI向け半導体需要は、マーケットの想定よりも数倍の規模があるとみている。株価が調整したこともあり、優良銘柄をピックアップするチャンスだろう。半導体製造装置メーカーは利益率の高い企業が多い。これは付加価値を持たせることで、新興国企業が参入しても競争力を発揮してきたからだ」(和田木氏)

 岩井コスモ証券の斎藤和嘉シニアアナリストも「米国のIT大手(マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、アルファベット、メタ・プラットフォームズ)の設備投資意欲は強い。半導体製造装置は代替が利かず、トランプ関税の影響も、自動車や消費財メーカーなど川下のセクターと比較すれば相対的に小さい。銘柄選別は必要だが、株価が調整しているだけに上値余地は大きい」と指摘する。

 ただし、今後は半導体製造装置セクターでも優勝劣敗は進みそうだ。すでに前工程、後工程で明暗が分かれつつあり、中国売上高の減少をカバーできる強みがあるかどうかでも差が出るからだ。

 不透明な環境でも力強く業績、株価が躍進する銘柄は何か。

 次ページではトランプ関税や円高、DeepSeek台頭があっても半導体セクターが強い理由を分析しながら、投資戦略についても具体的に解説。さらに生成AIで米エヌビディアより期待できる本命企業から、復活が狙える企業、相対的に厳しい企業まで具体名を挙げて紹介する。