
待望の「押し目到来」なのか。この2年、3年の日本株をけん引した金融セクター。直近はトランプ関税の影響で株価が急落しているが、2024年初から見ると依然として株価は高い水準にある。金利の先高観から業績、株価への期待は強いが、果たして今の水準で買っていいのか。また、「マクロ頼み」ではなく、独自の強みを発揮して成長する企業の選び方とは。特集『反撃の日本株! 新時代の最強株&投資術』の#10では、投資家の注目度が高い銀行、保険を中心に外資系トップアナリストの見解を聞いた。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)
銀行、保険などの金融セクター
待望の押し目は買いの好機か
株価、業績共に躍進が続いてきた金融セクター。3月末から株価が急落しているが、「外部要因による短期的な調整」にとどまるならば、待望の押し目買いチャンスともいえる。今後はどうなるのか。
もともと金融株はPBR(株価純資産倍率)1倍割れ銘柄が並び、バリュー株の代名詞だった。株式市場の評価が一変したのは、金利上昇という追い風を受けて業績が絶好調だからである。2025年3月期だけでなく、26年3月期以降も最高益更新が期待できる銘柄が目立つのだ。
24年初から25年4月2日までの株価騰落率を見ると、日経平均株価の4%上昇に対して、銀行は40%、保険は55%と大きく上回って推移している。個別企業を見ても、三井住友フィナンシャルグループは46%、東京海上ホールディングスは57%も株価が上昇している。
とはいえ、投資という観点では「業績も株価も高水準の金融セクターを今から買っていいのか?」と悩む投資家も多いだろう。果たして金融セクターへの投資は今からでも間に合うのか。
モルガン・スタンレーMUFG証券の長坂美亜アナリストは「銀行セクターについては強気を継続している。特に短期的な株価調整があればエントリー好機になる。利上げサイクルの中で初期段階だと市場がみていることと、業績の堅調なことが大きい」と指摘する。
JPモルガン証券の佐藤耕喜アナリストは保険セクターを強気で見ている。
「損保、生保共に事業環境が良い。特に損保は高水準の株主還元の継続が見込まれ、投資観点でも妙味がある」
外需銘柄に不透明感が出ているだけに、日本株復活のけん引役として金融セクターへの期待は強い。果たして「金利のある世界」で主役となる企業はどこか。
次ページでは生保や損保、銀行など金融セクター各社の強弱材料や株主還元力の源泉、株価を占う二つの指標の関係などについて外資系トップアナリストが解説。銘柄選定のポイント、さらには具体的な注目企業についても紹介する。