
ITセクターの中で昨年、ビッグニュースにより注目を集めたのがSCSKだ。ネットワンシステムズを約3600億円で買収することを発表した。この買収への期待は大きい一方、投資対象として見ればまだ妙味が残る状態でもある。特集『反撃の日本株! 新時代の最強株&投資術』の#16では、SCSKの買収による影響と投資対象としての評価を分析していく。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)
ITセクターで注目のSCSK
ネットワン買収効果に期待
「SCSKは2024年にITセクターの中で最も注目を集めた銘柄の一つだ」。あるアナリストはそう評価する。
企業の旺盛なソフトウエア投資を背景に、足元で業績がうなぎ上りなのがIT業界だ。その詳細は、本特集#11『富士通、NEC、NTTデータ…内需型ITベンダー株はトランプ関税で「買い」か?本命銘柄を徹底解説』を参照してほしいが、大手から中堅にわたり、多数の企業が好業績への期待から株式市場で注目を集めている。
その中でも、話題を集めたのが中堅システムインテグレーター(SIer)のSCSKだ。というのも、同社は24年11月に約3600億円もの巨費を投じて、同じく中堅IT企業であるネットワンシステムズの買収を行うことを発表したからだ。TOB(株式公開買い付け)による完全子会社化はすでに完了し、現在は26年4月までの経営統合の検討を進めている。
買収のインパクトは大きい。両社の売上高を単純合算すると約7000億円(24年3月期実績)に上り、これは野村総合研究所に匹敵する規模だ。SCSKは、将来的に「売上高1兆円」の達成を掲げており、その目標に大きく近づいた格好だ。
また、単なる規模拡大だけでなく、実は両社の統合には大きな“シナジー”があると見込まれており、さらなる業績アップへの期待も高い。
では、SCSKとネットワンの統合で、どのようなシナジーが期待されているのか。次ページではその詳細を解説しよう。また、TOBの発表以来、SCSKの株価は2割ほど上昇しており市場で着実に評価を高めている一方で、「まだ株価の上値を狙える状態だ」とあるアナリストは口にするなど、投資対象としても妙味が残る。その背景についても詳細を解説していく。