反撃の日本株! 新時代の最強株&投資術#11
Photo:Rachata Amnataree/gettyimages

トランプ関税で株式市場が総崩れとなる中、内需型産業として注目を集めるのがIT業界だ。ここ数年、企業の旺盛なデジタル関連への投資により絶好調な業績が続く。その中でも、より強い成長が見込まれる「有望企業」はどこか。特集『反撃の日本株! 新時代の最強株&投資術』の#11では、大手、中堅を含めたITベンダーの注目銘柄について解説していこう。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)

トランプ関税で製造業が壊滅
内需型ITにチャンスか

 先週来、トランプ関税で総崩れとなった株式市場。自動車セクターなど製造業や外需銘柄への甚大な影響が見込まれ、投資家にとって難しい局面が訪れる中で、ITセクターは投資戦略の光明になるかもしれない。

 これまでITセクターは、企業の旺盛なデジタル投資意欲を背景に、絶好調の業績が続いてきた。実際、2024年3月期は、NEC、富士通、NTTデータグループといった大手のITベンダーのIT事業がそろって増収増益を記録。NECのITサービスセグメントは調整後営業利益が前期比23.9%増、富士通のサービスソリューションセグメントの調整後営業利益はなんと同45.5%増という大幅な増加だった。

 下の図は日本銀行がまとめた企業のソフトウエア投資額の推移だ。これを見れば明らかな通り、20年に約3.9兆円だった投資額は、ここ数年で急増し、25年の計画値では約5.9兆円となるなど、多額の資金がIT業界に流れ込んでいる。全社的にデジタルトランスフォーメーションが加速しているだけでなく、老朽化した基幹システムの更新ラッシュといった数十年単位のトレンドがあり、特に大手企業を中心に開発システムの大型化も顕著になっている。IT需要の増加は、ある意味構造的で、安定的といえるのだ。

 ITセクターは典型的な内需銘柄だ。製造業と異なり、トランプ関税の影響は直接受けにくい。また、景況感の悪化に伴い企業からの投資が落ち込むリスクは当然あるが、ソフトウエア投資への優先順位は高く、その他の設備投資などと比べて投資額は減らしにくい。そうした背景から、「相互関税がITサービスセクターに与える影響は、総じて限定的にとどまると考えられる」と、ゴールドマン・サックス証券の田中誓アナリストは指摘する。

 大荒れの相場の中で相対的に優位が見込まれる業界であり、積極的に銘柄を物色するチャンス。では、そうしたITセクターにおいて注目すべき銘柄とは一体どれなのか。

 次ページからは、敏腕アナリストらに聞いた注目銘柄とその背景について解説していこう。ここでは、大手企業の「本命企業」2社に加えて、意外な中堅企業の3社をピックアップ。その特徴と動向について徹底的に分析する。