反撃の日本株! 新時代の最強株&投資術#8
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企業のDX推進が追い風となるSaaSセクター。生産性改善は最重要課題だけに需要は底堅く、売上高成長率は20%を超える銘柄が目立つ。一方、株価については明暗が分かれている。市場からの評価軸が変化しつつあるからだ。特集『反撃の日本株! 新時代の最強株&投資術』の#8では、ラクス、フリーなど主要プレーヤーの最新決算を分析しつつ、SaaSセクターの分析のポイントを解説。生成AIで躍進が期待できる意外な企業も紹介する。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)

企業のDX推進を追い風に
売上高20%成長の企業がそろう

 新型コロナウイルスの感染拡大で急速に進んだSaaS(Software as a Service)活用。2020年後半の「SaaSバブル崩壊」以降、SaaS関連銘柄の株価は一進一退が続いているが、各社の成長が大きく鈍化しているわけではない。直近の四半期決算においても、上場SaaS銘柄の重要指標であるARR(年間経常収益)は平均で27%も伸びているのだ。

 Next SaaS Media Primaryを運営するSaaS分析の専門家の早船明夫氏は「マネーフォワードやフリーが上場した17年から19年ごろに市場が抱いた期待通りに売上高が伸びている」と指摘する。

 市場が抱いた期待とは何か。

 簡単に言えばDX(デジタルトランスフォーメーション)が不可欠になる中で、SaaS導入が加速。その上で「月額課金が基本となるサブスクリプション(定額課金)型なので解約されにくく、アップセル(上位サービスの提案)やクロスセル(関連サービスの提案)を含めて成長していく」(早船氏)という未来予想図である。

 株価についても、その期待感を含めて形成されている。20年後半は期待が暴走して株価がバブル化したが、足元の株価はPSR(株価売上高倍率)の平均値が4~6倍程度に落ち着いている。

「将来的に見込める売上高純利益率を20%と想定すると、PSR5倍であればPER(株価収益率)では25倍になる。日経平均株価よりは高く評価されているが、成長率を考えれば割高とはいえないのではないか」(早船氏)

 実際、25年2月13日には米投資ファンドのカーライル・グループが人材管理システムを主力とするカオナビのTOB(株式公開買い付け)を発表。TOB価格は13日終値の2.2倍である。これは将来の利益を考えれば、現状の株価が「割安」だと判断したからだろう。

 外需セクターと異なり、SaaS銘柄は世界景気の影響を相対的に受けにくい。DXは大きな流れであることも安心感につながる。

 ただし、売上高20%超の成長が見込める銘柄がそろうSaaSセクターでも、当面の株価のアップサイドについては明暗が分かれそうだ。市場の評価軸が変化しつつあり、銘柄選別が従来よりもシビアになっているからだ。

「企業との接点を継続的に持ち、データを保有しているところがSaaSの強み。その二つの強みを活用して収益力を高め、成長を維持できるかどうかが今後の焦点になるだろう」(みずほ証券の小山和輝アナリスト)

 次ページでは、SaaS企業のビジネスモデルを解説するとともに、主要プレーヤーの動向やライバル対決、生成AIで本命となる可能性のある意外なSaaS銘柄についても紹介していく。