反撃の日本株! 新時代の最強株&投資術#14Photo:axlemasa/gettyimages

トランプ相場に翻弄される株式市場を横目に意外な底堅さを発揮しているのがJ-REITだ。分配金の安定感は強く、為替リスクを負わずに「5%」の利回りを狙えるチャンスでもある。特集『反撃の日本株! 新時代の最強株&投資術』の#14では、J-REIT市場が本格復活する条件や、オフィス、物流、ホテルなど投資対象別の強弱、この先も期待大のREITの条件について専門家に聞いた。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)

平均分配金利回りは5%以上
株価急落時も底堅さを発揮

「底堅さを発揮した」と言っていいのだろうか。3月27日から4月7日まで日経平均株価が17.6%暴落した中、東証REIT指数は5.6%の下落にとどまっている。

「REIT」とはReal Estate Investment Trust(不動産投資信託)の略称で、日経平均やTOPIX(東証株価指数)に相当するのが東証REIT指数である。多くの投資家から資金を集めてプロが不動産を運用する仕組みの金融商品で、株と同じようにリアルタイムで売買が可能である。

 株式市場の不透明感が高まる中、東証REIT指数の分配金利回りは5%超と高水準。米トランプ政権に翻弄される株式市場と比較すると、相対的に底堅く推移している。

 ニッセイ基礎研究所の不動産調査室長の岩佐浩人氏は今後のJ-REITについて三つの論点があると指摘する。

 ポジティブな論点は、「好調な賃貸市況」を背景に、各社の業績が堅調なことだ。DPU(1口当たり分配金)が順調に伸びている。

 一方、逆風となっているのが「金利の上昇懸念」と「需給の悪化」である。REITは投資資金の半分弱が借入金のため、金利の上昇が逆風になる。

 需給の悪化はNISA(少額投資非課税制度)の影響も大きい。J-REIT投信を多く含む「毎月分配型投信」はNISAの対象外であり、「つみたて投資枠」では主たる対象資産を株式に限定している。その結果、個人投資家の資金がREITから流出して「オルカン」など株式型投信に流れている。

 とはいえ、3月末からの急落時も2024年12月の安値を割れないなど、底打ち感も出てきている。

 岡三証券の並木幹郎シニアアナリストは「東証REIT指数の当面の下値めどは1600ポイント。現状の水準は割安感が強く、徐々に下値を切り上げていくのではないか。トランプ政権次第で下振れするリスクもあるが、J-REIT各社の業績は好調であり、仮に日本銀行の利上げ打ち止め感も出てくれば年内に1900ポイント到達も狙えるとみている」と分析する。

 賃料収入の変動は株価や不動産価格と比較するとマイルドなため、J-REITの分配金は安定性が高い。

「株式市場が調整の範囲にとどまるのであれば、必ずしもJ-REITには逆風にならない。もし日銀の利上げが遠のくのであれば、J-REITには好材料だろう」(並木氏)

 次ページではREIT市場を解説しつつ、「割安水準から脱却する条件」や「今は突っ込み買いのチャンスなのか」を分析。投資対象別の強弱や、注目銘柄も具体的に紹介する。