大暴落当日に行った
積極的な買い

「ブラックマンデーと似てる」。シゲルさんの頭には、まずそんな思いが去来した。値下がりの幅、勢い、ストップ安銘柄の多さ……。シゲルさんの資産も、たった1日で約2億6000万円吹き飛んだ。だがこのときのシゲルさんは、ブラックマンデー時とは違った。積極的な買いを入れたのだ。

 具体的にはジーテクト2000株、竹内製作所2000株、シライ電子3000株、愛三工業2000株、日本精機3000株、小野建2000株、岩井コスモホールディングス株4000株。約定代金はおよそ2860万円だ。

 そして3217円高となった翌日、愛三工業、日本精機、小野建、岩井コスモホールディングスに関しては早速売却。同日だけで約1億4000万円を取り戻した。

「まだ下がる可能性もあるけど、そう思ってたら買いに行けない。業績を考えると絶対に安い水準やった。ここで買いに行けたということは、ブラックマンデーの時よりも投資家としての腕は上がったということかもしらんね」

 シゲルさんはそう言って笑う。

暴落は必ずやってくる
その時「損切りはしないほうがいい」

 市場では、「二番底が来るかもしれない」という懸念がしばらくくすぶっていた。その懸念をシゲルさんに告げるも、「そら分からんわ。来るかもしれへんし、来ないかもしれん。そんなんわかってたら誰も苦労せえへんわ。暴落を怖がってたら投資なんてできへんよ」とばっさりと切り捨てる。

 株式市場では、暴落は必ずやってくる。そしてその暴落の日がいつなのかはわからない。それが投資の“鉄則”だ。

 この暴落の局面で、シゲルさんが「しないほうがいい」というのが損切りだ。そもそもシゲルさんは、基本的に損失を抱えている株式を見切って売却する損切りをしない。それは「必ず上がると思える株を買っているから」「損切りが常態化してしまうと、ちょっと損が出たらすぐに売却したくなってしまうから」だ。