「業務委託」という選択肢も
メリット&デメリットは?

 再雇用では収入が下がる上に、年下の上司の下で働くなどの環境変化もあり、モチベーションが下がってしまう人も少なくありません。また、親の介護や自身の健康問題などで今までのように働くのが難しいと感じる人もいるでしょう。

 このような人には、「業務委託として働く」という選択肢もあります。経理畑にいた人なら経理業務のみ、広告代理店にいた人なら制作業務のみを勤務していた会社から請け負うのです。人間関係の煩わしさから解放され、会社勤めに比べれば、比較的、自分のペースで仕事を進めることができます。

 他にも起業や転職などの選択肢もありますが、60歳過ぎてとなると難しい面も多くあります。もちろん成功している人もいますが、再現性が高いとはいえません。それに対して、勤務していた会社から業務委託で仕事を受けるのは、確実な方法です。

 また、勤務していた会社以外にも取引対象を広げることも可能です。定年まで勤めていた企業では身に着けているのが当たり前だったスキルでも、他の企業からは高く評価されて、求められることもあり得ます。特に経理、IT、営業力などが弱い中小企業はその傾向が強いでしょう。仕事の依頼が多ければ、再雇用として勤務した場合よりも収入面で上回ることもできるでしょう。

 ただし、業務委託で働く場合にも注意しなければならない点があります。

 当たり前ですが、契約が持続するかどうかは、依頼された仕事に対する完成度や発注先のニーズにより決まります。いつまでも仕事を貰える保障はありません。

 また、想定外の出費となるのが国民健康保険料です。会社員時代に加入していた健康保険と異なり、会社の負担分がなくなるため、支払う額が高額になります。扶養制度もないため、家族のそれぞれが払わなければなりません。収入が不安定になるだけでなく、支出も増えるのです。

 再雇用制度がローリスクでローリータンとすれば、ミドルリスクでミドルリターンなのが、業務委託なのです。