もったいない!自分の未来を捨てないで

 バスケットボール日本代表に、身長167センチと小柄な選手がいます。チームの司令塔でもある、富樫勇樹選手です。身長2メートル前後はある海外の選手に囲まれると、彼はとてつもなく不利に見えます。

 けれど、富樫選手のプレーは多くの人を感動の渦に巻き込んでいます。それは、彼が小柄さをものともせず活躍しているからです。「生まれたときから損してる。どうせ頑張っても無駄」などと言って何も努力しなければ、今日の富樫選手が存在しないことは明白です。

 もちろん皆が皆、彼のような圧倒的な努力を積み重ねることはできないかもしれません。置かれた環境で、理不尽や思い通りにいかない場面が数えきれないくらい登場するかもしれません。それでも、自分で自分の可能性にふたをせず、「大逆転ができる自分になるぞ」と、自分を奮い立たせることってすごく大事だと思うのです。

 こんなことを言うと、セールスの世界で長年踏ん張ってきた私に対して、「はいはい、和田裕美って古くさい根性論が好きなのね」とかって思う人は多そうですよね。確かに、特に若い人にとっては、やや古くさく感じる人もいるかもしれません。

 けれど、昭和だろうと平成だろうと令和だろうと、人間が成長する原理原則は昔から大きくは変わりません。人間は、努力した人のほうが、努力しても無駄と思っている人よりも確実に成長するものです。

 仕事の配属先をはじめ、今いる環境が望んだものと違ったとしても、自分がどこまでできるのか、そこで学べることは未知数です。案外というかたいていの場合、一生懸命に向き合ったことは何らかの形で人生に役立ちます。

 私の場合も、営業の仕事は決して望んだものではありませんでした。でも、思った以上に私の人生に大きな影響を与えてくれています。希望の職種ではなかったからこそ、最初の期待も低く、小さな成果にも喜べたのだと思います。そして、その小さな成果を積み重ねて継続していく先に、人生を大きく好転させる秘訣が潜んでいます。

 そうした可能性を、配属ガチャを理由に知らぬ間に捨ててしまうのは、あまりにもったいないこと。自分の未来を捨てているのと同じです。