最近は五月病ならぬ「六月病」という言葉があるそうです。4月は新しい環境で張り切っていたものの、2カ月たって心身に不調が出たり、意欲を失ったりする状態のことを指すそう。「何となく最近、調子が出ないな」と思う人に向けて、和田裕美さんがエールを送ります。(作家、株式会社HIROWA代表取締役、京都光華女子大学キャリア形成学科客員教授 和田裕美)
若者まで「いっそ死んだほうが楽」と思う日本人
仕事に価値を見いだしている人と、仕事を楽しめてない人、今の世の中を見渡すと、どちらが多いのでしょうか? あなたはどうですか? 残念なことに今の日本人は、仕事にやりがいを見つけることができない人が多いのかもしれません。
日本の自殺者数は2010年以降、減っているそうです。しかし一方で、勤務問題が原因・動機の自殺者の割合は増えていて、なんと自殺者の約1割が仕事による問題で命を絶っているそうです(参照『責任世代の40代こそ命のSOSを!仕事が動機の自殺者割合が増加…予防策は?』)。
「いっそ死んだほうが楽」という考えは、未来に一切の期待がないことから生まれます。先日、橘玲さんの『無理ゲー社会』(小学館新書)という本を読んだところ、こんな一説がありました。
政治家が国民に、これから期待するもの、欲しいもの、政府に作ってほしいもの、許可してほしいものなどをヒアリングしたところ、一番多かったのが「安楽死を可能にしてほしい」だったそうです。これは中高年に多い回答かと思いきや、20~30代も多くの人が同じ回答をしたそうです。
お金がなくなったり、介護地獄になったり、寝たきりになったり、飢え死にしそうになったりだとか、とにかく老後の貧困や病気が怖い――。未来にはツラいことしかないのなら、安楽死が可能になればいいという意見が多かったそうです。
冒頭から暗い話ばかりで、ごめんなさいね。私は、悲観的に物事を考えるタイプではありません。けれど、今の日本人がこうした気持ちを持っていることが、わからなくもありません。想像できる未来に困難しかなければ、生き続けることに価値を見いだせない。死にたいわけではく、「生きていたくない」という心理が、心の片隅にあっても不思議ではないでしょう。
しかし、安楽死は今の日本において認められていません。生きていくにはお金がかかります。病気などで働けない場合を除いて、稼ぐためには働くしかありません。
そうした現実を受け止めた上で、「どうせ生きていくなら、楽しくしたほうがいい」と考えてみてはどうでしょうか? どんな仕事でも、価値はあります。それを見つける努力をするほうが、ずっと報われるのではないでしょうか?