「最後までやりきる」という執念が可能性を生む
そうは言っても、最近はもっと耳に優しい話のほうが支持されます。「逃げたらいい」とか「そのままでいい」とか。
でも、人生の課題って、残したままだと結局、追いかけてくるんですよ。「おい、課題やり忘れているぞ」ってね。
だから、環境を変えたとしても同じような課題がまたやってくる。それでもまた逃げると、その課題をクリアしなくてもいい世界に行かざるを得なくなる。つまり、レベルそのものを下げるしかなくなります。そうなると、もう成長を望むのは難しいでしょう。
私自身が、「環境を言い訳にせず、やれるだけやってよかった」といった経験をこれまで何度もしています。逆にそんなときってチャンスというか、ライバルが少ないので結果を出しやすいケースもあります。
例えばですが、私は本を出版して今年で20年目になります。「女性営業のカリスマにして先駆者」などと紹介されるときもありますが、次から次にどんどん新しい人が出てきて、「自分なんてオワコンだな」と思うことも実はしばしばです(笑)。
ただ、ビジネス書のかいわいで20年続いている人って案外少ないそうです。根性は自負していますが(笑)、でも、ここまで継続できたのは、デビュー時の環境が良くなかったからだと思っています。
20年前、私の出版企画を断った編集担当さんの言葉は、今でもはっきり覚えています。「正直、女性のビジネス書って読まれないんです。同じ内容で同じタイトルで著者が男性か女性だったら、男性は男性著者の本を買います。女性はどっちでも買いますが、どちらかというと男性著者の本を買うほうが多い。なので、和田さんの本をつくっても売れないでしょうね」――。
こう言われた私は悔しくて、そこで諦めたくなくて、頑張りました。その結果、今があります。当時、環境が悪かったことが、逆に最大のチャンスになりました。ちなみに当時、20社ほどが断った私の出版企画を「やりましょう」と言ってくれたのが、ダイヤモンド社です(笑)。「捨てる神あれば拾う神あり」をまさに実感した瞬間でした。