米国株急落でも「底堅い」日本株、上昇力に欠ける3つの理由と“上抜け”の条件Photo:PIXTA

米国株が急落している割に、日本株の下落率は相対的に小さい。また、ドイツなど欧州株、中国株は上伸している。このことは、米株安は自律調整を多分に含み、世界にリスクオフを伝播させる状況ではないことを示唆する。しかし、底堅い日本株は上昇力も欠いている。その背景は何か、どうしたら上抜けられるのか、日本と日本株の活路を考える。(楽天証券グローバルマクロ・アドバイザー TTR代表 田中泰輔)

米国株の下落ぶりに比べ
底堅い日本株

 ここ1カ月、米国株はひどい急落に見舞われ、リスクオフで米国債金利は低下した。近年、米金利の低下場面はドル安円高となる。そこに米株安も重なると、日本株は相乗的に押し下げられた。

 しかし最近、米国株の下落の割に、日本株は底堅いといえる。ところが、底堅くても、日本株の上昇力は限られている。底堅いのに上がらない背景は何か。どうすれば上がることができるのか。そして、勝算はどこにあるのか。

 米国株は、コロナ禍下の2020~21年に、極端な金融緩和を主因に急騰した。しかし、22年にはインフレが急伸し、これを抑えようと利上げが進むと、株は反落した。23年になると、株は、利上げ一服感で下げ止まったものの、高止まる金利に圧迫され続けた。

 そこに生成AI(人工知能)という革命的テーマが登場し、AI銘柄が大相場を牽引した。ただし、早い速い高い相場はそれ自らが反落の力学を強化する。

 次ページでは、まず、米国株の下落ぶり、そして、それに伴う日本株の動きを整理していく。