ブランドは、すぐに定着するものではありません。時間をかけて育てていくものです。最初のうちは違和感があるネーミングでも、諦めずに続けていくことで、徐々に消費者の間に定着していきます。

「ごきぶりホイホイ」発売から50年、虫ケア用品が“驚きの進化”を止めない理由

 ですから「最初からダメだ」と決めつけるのではなく、長い目で見て育てることが大切です。製品開発についてですが、基本的に当社には「売れているブランドだから変えてはいけない」という考えはありません。たとえば、今年の新製品「はだまも」も、その発想のもとで生まれました。

 当社には「サラテクト」という30年以上続く虫よけブランドがありました。「虫よけといえばサラテクト」と言われるほどの定番ブランドです。ただ、今回の「はだまも」は、あえて「サラテクト」のブランド名を使わずに展開しています。

「買って終わり」では続かない
消費者に選ばれる“二度の感動”

――同社には、変化を柔軟に受け入れる社風があるようだ。もちろん新製品が形になるまでには、さまざまなプロセスを経ている。キャッチーなネーミングなどは、若手社員の「ひらめき」によるところが大きいのかと思えば、そうではない。具体的なプロセスを聞くと、実に綿密な打ち合わせを通じて決められているのだ。

 新価値創造本部で新しい製品が生まれるまでには、かなりの工程があります。まずはブレインストーミングを行い、その後、現場レベルから課長、部長といった各層でプレゼンテーションが繰り返されます。そこでブラッシュアップを重ね、最終的に役員の前でプレゼンを行い、私の意見も交えながら、さらに磨きをかけていきます。こうした工程を経ることで、製品はより洗練され、市場に出る準備が整うのです。