実は「特別なノウハウ」があるわけではないんです。虫ケア用品では、競合他社も同じような有効成分(いわゆる「原体」)を使っています。当社しか持っていない成分もゼロではありませんが、基本的には同じような技術をベースにしているのです。

では、なぜ差が生まれるのか。それは、消費者が「原体」そのものを買うわけではなく、最終的な製品として選ぶからです。噴射の仕方や成分の配合、ブランドの認知度など、さまざまな要素が組み合わさって製品の購買につながります。
当社の特徴として、「売れているからそのままでいい」とは考えない風土があります。以前は、「ハエ・蚊の殺虫剤なら青」「ゴキブリなら赤」といった定番のデザインが当たり前でした。でも、そうした常識にとらわれず、時には真逆の戦略を採ることもあります。
中でも、ゴキブリ用駆除スプレーの「アースゴキジェットプロ」、ハエ・蚊用駆除スプレーの「アースジェット」は、本当の意味でナンバーワンになるための関門でした。
市場シェアを逆転した
「アースゴキジェット」開発秘話

1990年代前半、他社品が非常に強く、アース製薬の「ゴキブリアース」はシェアが2%くらいでした。そこで逆転するために、トリガーノズルによって強い噴射力を実現したのが、95年発売のアースゴキジェット(ゴキジェットプロの前身)です。
メタリック・グリーンに大きく斜めにロゴを取り入れた斬新なデザインを採用しました。発売時期もそれまでの常識から大きく変え、発売からわずか2年で逆転に成功しました。
アースジェットも同じで、競合製品が青い缶であるのに対し、メタリック・レッドで違いを強調しました。認知度を上げるために価格戦略を見直すなど、発売から5年かかりましたが、個数シェアで逆転できました。