「三省堂 辞書を編む人が選ぶ 今年の新語2024」で「言語化」が大賞に選ばれるなど、「言語化」という言葉を耳にすることが増えた。「とっさの質問にうまく答えられない」「『で、結局、何が言いたいの?』と言われる」「話し方やプレゼンの本を読んでも上達しない」……。そんな悩みを持つ方は、言語化の3要素である「語彙力」「具体化力」「伝達力」のどれかが欠けていると指摘するのは、文章や話し方の専門家であり言語化のプロである山口拓朗氏。本連載では、話題の書籍「『うまく言葉にできない』がなくなる言語化大全」の著者・山口拓朗氏が、知っているだけで「言語化」が見違えるほど上達するコツをご紹介していきます。

言語化力を飛躍的に高める「実況中継トレーニング」とは?
言語化力を高めるには、頭の中の情報をできるだけ具体的な言葉に置き換える習慣が有効です。そのトレーニング方法として効果的なのが、「実況中継トレーニング」です。
自分の置かれた状況や、その場の様子・光景、感じたこと・考えたことなどを、その場で言葉を使って説明していく方法です。
たとえば、
「今、私はカフェの窓際に座り、淹れ立てのコーヒーを手にしています。通勤時間帯。窓の外にはビジネスパーソンたちが、白い息を吐きながら歩いています」
という具合に、自分の状態や目の前の光景を具体的に言葉にします。さらに、「カップが触れ合う音」や「コーヒーの香ばしい香り」「少し酸味の混ざった苦み」など、五感を使った表現を加えることで、より詳細な描写が可能になります。
このトレーニングによって、表現力が鍛えられるだけでなく、頭の中から瞬時に言葉を取り出すスキルも養われていきます。
言葉にする習慣を身につけることで、日常会話や仕事の場面でも、自分の考えや気持ちを明確に伝えられるようになります。
頭の中にある漠然とした情報を言葉に変えることで、思考が整理され、言語化力が着実に鍛えられていきます。隙間時間でもできる「実況中継トレーニング」を日常に取り入れてみてください。
*本記事は、「『うまく言葉にできない』がなくなる 言語化大全」の著者・山口拓朗氏による書き下ろしです。