オンライン会議でも、冒頭で数分、雑談をする会議と、すぐに本題に入る会議では、雑談をしたほうが会議の時間が短くなったという研究結果もあるとか。雑談をすることで打ち解けて、アイデアが活発に出たり、決定もしやすくなったりするのです。

 雑談をしないのは「なにを話していいかわからないから」という理由もあります。

 しかし、特別なことを話題にする必要はありません。むしろ、身のまわりのネタのほうが共感を生むもの。鉄板は「急に寒くなりましたよね」といった季節や気候、「この椅子、おしゃれですね」「お茶が美味しいです」「○○さんのネックレスが素敵です」など、その場で見たもの、感じたことを口にするのも自然な流れです。

 電話やメールも急用でなければ、挨拶のあと、すぐに本題でなく、電話なら「最近、どうされていました?」、メールなら「紅葉の季節、公園の散歩が楽しい今日このごろです」などひと言あると、あたたかさが感じられて、気持ちが和みます。

 雑談をすることは、心を開くこと。自分からざっくばらんに他愛のない話をすることで、ふっと相手の懐に入り、すっと打ち解けることができるのです。

「中学生でも理解できる言葉」で
相手に話を聞いてもらう

 パソコンショップで操作方法について教えてもらうとき、銀行で投資信託について説明されるときなど、横文字や、難しい専門用語が出てくるとついていけず、聞く気力がなくなります。営業マニュアルに忠実に話をしているのかもしれませんが。

 人は、わからない言葉がひとつ出てくるだけでストレスを感じ、話の全体像がわからなくなるのです。いえ、説明が上手いかどうか以前に、自分の言いたいことを一方的に押し切って、相手の気持ちを思いやれない態度に対して不信感、嫌悪感をもったり、心の距離を感じたりして、話を聞きたくなくなるのです。

 普段、同じ年代、同じ業界、同じ会社内などで、あたりまえに使っている言葉でも、そこから離れると、自分が思っている以上に“わからない言葉”は多いのです。

 高齢者の多い集まりで、60代の男性が「リスケしましょうね」と言ったことがありました。となりにいた高齢女性が「あの人、格好つけて横文字を使いたがるのね。リスケってなによ」とブツブツ。おそらく多くの人がわかっていなかったでしょう。

 無意識に言ったとしても、聞く人のぽかんとした表情に気づいて、「改めて予定を立て直しましょうってことです」と言い換えると、好感度を上げたかもしれません。