「段階増額積立」に決定、計画は今後も随時更新

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理事会が最も議論を重ねたのが、修繕積立金の徴収方法の変更である。当初、検討されたのは「均等積立方式」だった。これは、共用部分の維持費や足場費用などが割高となるタワーマンションには適した方式と一般的にはいわれるが、19人の理事の意見は、以前からの「段階増額積立方式」とで二つに割れた。
確かに、この先の諸物価高騰の見込みなどを勘案すれば、大規模修繕資金には余裕を持ちたい。そこだけを考えれば、前者の選択が望ましいだろう。しかし、住民の負担は確実に重くなる。外国籍の住民や短期間での譲渡を志向する所有者らには、そもそも修繕積立金の増額すらも反対されかねない――。
議論の末、理事会が選択したのは「段階増額積立方式」だった。駐車場契約率の予想や大規模修繕時以外の資金的余力なども織り込み、住民の負担や合意形成面などを考慮した結果、「段階増額積立方式」でありながら、将来の増額計画も全て一括して決議する“均等積立方式との折衷案”ともいえるプランを選択する。
修繕積立金は第6期の25年2月から、戸当たり平方メートル単価170円に。以後、5年置きに220円、270円、320円まで増額する計画だ。これは、国土交通省の「修繕積立金ガイドライン」が推奨する「段階増額積立方式における適切な引上げの考え方」に沿った値上げ幅である。
新しい長期修繕計画と修繕積立金体系を引き継ぐ第6期の東妻陽一理事長は、敷地内の植栽の支柱交換や遊具の故障修理など、当初の計画に含まれていない修繕項目が少なからず生じていることを踏まえ、今後も継続的に計画を見直す意向を示す。
「みんなで楽しむ」ことが管理のコツと両氏は言う。理事会では、19人の理事がそれぞれ担当業務を受け持ち、例えば防災担当、自治会担当理事は、防災訓練と同時に芋煮やカレーの炊き出しなどの住民交流イベントを実施。
外国籍の住民も一定数いる中で、分け隔てのないコミュニティーづくりにも力を入れ、住民の帰属意識や自治意識を高めてきた。「流動性が高いエリアだからこそ、コミュニティーの構築はマンション管理の重要な要素」(東妻氏)なのだ。
「都市にあっても人との触れ合いや憩いの場である“リゾート”感が私たち住民の誇りであり、それがマンションの評価にもつながると思います」(日笠氏)
