しかも、鹿内氏に退職金を出した当時のフジサンケイグループは13社だったのに対し、現在のフジ・メディア・ホールディングス(FMH)に属する企業は32社で、他に関連会社も4社あります(HPより)。さらに、傘下に地方のテレビ局も抱えており、当時よりグループは膨張しています。当然、全体の売り上げも伸びています。

 そして、日枝氏が現在でも役職を務めている会社・団体は、3月27日の辞任発表以前では(1)フジテレビジョン、(2)フジ・メディア・ホールディングス、(3)共同テレビジョン、(4)北海道空港株式会社、(5)NST新潟総合テレビ、(6)株式会社TOKYOTOWER、(7)彫刻の森芸術文化財団、(8)新日本フィルハーモニー交響楽団と8つあります(wikipedia調べ)。財団法人や社団法人の役員や顧問も10以上となります。

「取締役」という肩書が付随すると
相談役の期間も退職金の対象に

 これら、それぞれの会社・団体で退職金などが発生する可能性があるのです。もちろん、すべて社長を勤めていたわけではありませんが、たとえばフジテレビの取締役相談役という地位については、退職金の扱いが社によって判断で分かれます。社長を退き、単なる相談役に就いた場合は、一般的に社長としての退職金がその時点で発生し、支払われます。しかし、取締役という肩書が付随している場合は、その期間も含めて退職金の基準となる功労期間に入るため、取締役が外れた段階で支払われるケースが多いのです。

 ただし、これはあくまでも一般的なケースで、役員退職金については各社に内規がそれぞれあり、そうした全体像はさすがに簡単には調査できません。ならば、この退職金はどうやって決まるかといえば、まず内規に従って役員会が決め、それを株主総会で承諾を得ることが会社法によって定められています。

 しかし、多くの場合株主総会では、「内規に従って支払う」といった抽象的な言葉で終わるケースが多く、実際の金額が公開されるケースは稀です。ましてや日枝氏のように、地方局の非常勤取締役などを多くやっていると、その株主総会が全部終わるまで総額はわからない仕組みになっているのです。