中居正広による性加害は、守秘義務によって詳細が未解明となっていますが、その性加害に関わった一部のフジ関係者だけに罪があるわけではありません。性加害が発生した会社の環境そのものをつくった人間=日枝久氏と、守秘義務を楯に第三者委員会に協力しなかった中居正広にも、相応の責任を追及しないと世間の納得は得られず、CMスポンサーの復帰というハードルも乗り越えられないと私は考えます。
悪い企業風土を作ったが
問題を解決することはできた
確かに、会社法的には日枝氏の罪はアバウトにしか論じられないものと言え、それは女性人権無視の会社風土をつくったということだけになります。しかし、日枝氏が途中でこの問題を解決しうるチャンスはありました。
日枝氏は、事件発生直後はこの事件を知らなかったかもしれませんが、第三者委員会の報告書によれば、12月27日にフジテレビのHPで「事件の現場にフジ社員は同席していなかった」という点のみに限定して週刊文春などの報道に反論したという対応の影響がどうなるか、それが世の中に通用するか否かは判断できたはずです。
この段階で、日枝氏に世間の人権意識の変化に対する配慮があれば、すぐに関係者の処分と被害者への謝罪、そして加害者中居への抗議といった手段をとれたはずです。この組織が日枝氏の「鶴の一声」ですべて変えられることは、誰もが知っています。しかし日枝氏から、処分や謝罪の指示は出ませんでした。
彼に人権意識の変化について感知能力がなかったことを示すだけでなく、1回目の記者会見をクローズにすることに許可を与え、この決定がフジテレビに甚大な損害を与える結果になったのですから、フジの経営上のピンチには大きな責任があると言えます。
私には、やはり第三者委員会の構成に難があったとしか思えません。これは、大変な努力をした彼らの成果を認めないわけではなく、フジ側にそこまで勧告する第三者委員会が必要だという認識が足りなかった、あるいはそこまでの勧告をする第三者委員会であってほしくないという願望の結果だったと思います。