元タレント中居正広氏元タレントの中居正広氏 Photo:SANKEI

元タレント中居正広氏の女性トラブルを巡り浮上したフジテレビの問題を調査した第三者委員会が報告書を公表し、人権意識の欠落とコンプライアンス上の深刻な欠陥を指弾した。その上で、女性は社歴の浅い元アナウンサーで「業務上の延長線上」で中居氏から性暴力を受けたと認定し、その結果、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症したと結論付けた。報告書で性暴力を行ったとされる中居氏が立件される可能性はあるのだろうか。(事件ジャーナリスト 戸田一法)

幹部らが「ペコペコ」で
中居氏に逆らえなかった

 第三者委員会が3月31日の記者会見で明らかにした事実関係は、各メディアが報じているとおりだ。主にフジテレビのガバナンスの問題点がクローズアップされたが、本稿では報告書で性暴力を行ったとされる中居氏の刑事責任について今後、どうなるのかについて考察・言及したい。

 全国紙社会部デスクによると、第三者委は1月に設置され、弁護士3人で構成。元アナウンサー(以下・女性)側はトラブルに関する示談契約の守秘義務解除に応じる意向を示したが、中居氏側は拒否し、可能な範囲でのヒアリングに応じた。

 調査は女性と中居氏を含めフジの役職員など関係者222人を対象に、延べ294回にわたり実施。報告書は本文だけで273ページ、役職員アンケート結果などを含めると394ページに及ぶ詳細なものだ。

 それによると、中居氏は2023年6月2日、フジ社員も参加するように装って女性を食事に誘った。しかし、実際には誰も誘っておらず、飲食店に予約することもなかった。

 その上で「誰も集まらない。いい店がない」などと言って自宅マンションに誘い、女性は「仕事上で付き合いがある芸能界の大御所からそう言われたら『今夜、暇だ』と言ってしまった私は行かざるを得ない」と断ることができない状況に追い込まれた。

 女性は「幹部らがいつもペコペコしている姿を見ていたから、逆らえないと思っていた。断ったら仕事に影響が出るのではないか、番組に呼ばれなくなるのではないか」などと振り返ったという。

被害の申告がなくても立件は可能
有罪となれば5~20年の懲役に

 これだけを見ると「結果的に誘いに応じたのだから同意があったのではないか」と思う読者がいるかもしれない。しかし、17年に従来の準強姦(ごうかん)罪が改正された準強制性交等罪は「暴行、脅迫によらない場合も(中略)心神喪失・抗拒不能にさせて性交等をした場合」に該当するとされた。

 さらに、事件後の改正ではあるが、23年7月施行の不同意性交等罪には8つの概要要件が明文化され、そのうちの1つに「経済的・社会的関係の地位に基づく影響力で受ける不利益を憂慮させる(例として教師から生徒、上司から部下、スポーツ指導者から選手に対して、断ったら不利益を受ける可能性がある場合)」ケースが明示された。