それでも買う!狂乱の市場に克つ! マンション 最強の売買&管理術#32写真提供:新都市生活研究所

湾岸タワマンの管理組合向けコミュニティーイベントを一手に担うサービスが人気だ。約2.7万戸のタワマン住民向けに、これまで管理組合が手弁当で運営していたイベントを無料で提供する。富裕層が多いタワマン住民にサービスを営業したい企業と組み、業界で他に例のないサービスを提供し注目されているのだ。特集『それでも買う!狂乱の市場に克つ! マンション 最強の売買&管理術』(全33回)の#32では、その強さに迫った。(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)

タワマンでマグロ解体ショー、屋上カクテルパーティー…
湾岸タワマン住民に大人気の「タワマン専門イベント」企業

「こちらが大トロです!」祭り法被を着た職人たちが重そうなマグロのサクを高々と掲げると、集まった観衆から歓声が上がった。最前列に張り付いた子どもたちが身を乗り出す。

 5月末、ブリリアマーレ有明(BMA)。東京都江東区にあるこのタワーマンションの最上階の特設会場では、数十人の住民が目の前で繰り広げられる本マグロの解体ショーを鈴なりになって見守っていた。次々に解体されるマグロの横では抽選会が開かれ、当たり券を手にした人がパックされたマグロの刺し身を受け取っていた。

 屋外のテラス席ではシャンパンが振る舞われ、ギターとトロンボーンの生演奏を聴きながらグループが談笑していた。ライトアップされた屋上ではDJブースからクラブミュージックが流れる中、酒造会社の八海山がバーカウンターで日本酒やクラフトジンを販売している。日が沈み、もうすぐ始まる花火大会を屋上で見ようと、カップルや家族連れが集まり始めた。

 タワマンの都会的な暮らしを絵に描いたようなこのイベントは、管理組合向けにコミュニティーイベントを提供する新都市生活研究所(新都市研)の企画運営によるものだ。「ヴァーティカルサミット」と名付けられた恒例のお祭りのようなもので、この日も2日間にわたって1階エントランスロビーと最上階のラウンジでさまざまな催しが開かれていた。子ども向けの工作ワークショップや豊洲市場の店舗の出張販売、希金属やブランド品の出張買い取りサービス、不動産売買相談などもある。BMA管理組合が主催し、新都市研が共催という形を取る。イベント費用はスポンサー企業が負担し、管理組合側に負担はない。

 同社と契約しこのようなイベントを開催しているマンションは、湾岸タワマンを中心に実に56棟2.7万戸もあるという。東京23区内のタワマンは約130棟、そのうち湾岸タワマンは数十棟あるといわれているので、全体の中でもかなりの割合のマンションが同社と契約していることになる。

 タワマン管理組合の理事経験者が立ち上げた企業でもある新都市研。人気の理由は何か。タワマン管理組合の悩みの種を、管理組合会計を圧迫することなく解決でき、こうしたタワマン住民とつながりたい企業をうまく巻き込むことに成功しているからだ。次ページから詳しく見ていこう。