
半導体業界は人工知能(AI)ブームの恩恵を受け、米半導体大手エヌビディアや台湾積体電路製造(TSMC)といった企業の利益と株価は過去最高水準に押し上げられてきた。
ドナルド・トランプ米大統領による関税の脅威と世界経済の減速の可能性が高まる中、AI向け以外の分野があまり好調ではないという事実を無視することが難しくなっている。
世界最大の半導体メーカーで業界の景気動向を占う存在であるTSMCは17日、業界がAIに過度に依存しているとの印象を強めた。同社は今四半期の力強い売上高見通しを示し、関税で混乱が生じかねないにもかかわらず設備投資計画を維持した。AI向け半導体の売上高は今年2倍になるとの見通しを示した。魏哲家・最高経営責任者(CEO)はアナリストとの電話会見で、今後数年間の売上高成長率は年平均で約45%になると述べた。
前日にはオランダの半導体製造装置大手ASMLホールディングが、関税によって不確実性が高まっていると述べた。同社が発表した第1四半期の受注額はアナリスト予想を下回り、投資家を不安にさせた。しかしクリストフ・フーケCEOはAIが「依然として市場の原動力」であると述べ、その状態が続けば今年の売上高は見通しの上限に達する可能性があると示唆した。
こうした楽観的な見方はある意味で理解できる。メタ・プラットフォームズやアルファベット傘下のグーグル、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コムなど、AIとそれを駆動する半導体に特に多く支出している企業が巨額の設備投資計画を維持しているためだ。
今年約1000億ドル(約14兆2400億円)の設備投資を計画しているアマゾンのアンディ・ジャシーCEOは先週の株主向け書簡で、AIに必要な「多額の設備投資」に言及した。アルファベットのスンダー・ピチャイCEOも今月、今年の750億ドルの支出計画に変更がないことを確認した。