トランプ関税回避に走る各国、米国製品購入の表明続々Photo:Anna Moneymaker/gettyimages

 ドナルド・トランプ米大統領の関税措置が発表された「解放の日」から2週間が経過し、高関税の発動を米国に思いとどまらせたい貿易相手国が描く計画が明瞭になっている。それは、米国製品の購入を増やすということだ。

 多くの国が米国との貿易不均衡の解消に向けて購入拡大を急ぐ一方、トランプ政権からの圧力をかわすため他国と連携しようとする動きもある。また、購入を増やすことができない、あるいはあえて増やそうとしない国もある。

 トランプ氏が4月2日に発表した高税率の「相互関税」について、米政府は70カ国以上を交渉の対象としている。トランプ氏は7月まで関税を一時停止することを決めた。

 トランプ氏は17日、米国市場へのアクセスと引き換えに欧州連合(EU)への関税を引き下げる合意を成立させることについて、「ほとんど問題はない」と述べた。また米国市場へのアクセスは「誰もが望むものである」とした。

「貿易協定は締結される、100%だ」とトランプ氏はEUについて語った。同氏はこの日、イタリアのジョルジャ・メローニ首相とホワイトハウスで会談。メローニ首相は、EU当局者と通商協議を行うためトランプ氏をイタリアに招いた。

 対米貿易黒字が1200億ドル(約17兆円)を超え、「解放の日」に自国製品への関税が46%に引き上げられたベトナムの対応に、関税回避に向けた各国の切迫ぶりが表れている。ベトナムでは最近、米ボーイングの新型ジェット機を購入するための3億ドルの資金調達契約が交わされた。ベトナムはまた、トランプ氏の盟友イーロン・マスク氏が手がける衛星インターネットサービス「スターリンク」の認可を押し進め、トランプ氏の15億ドル規模のリゾート開発の承認手続きを加速させている。

 米国のモノやサービスに対する需要は各地で膨らんでいる。タイではトウモロコシ飼料の需要が拡大。欧州は大豆の購入を増やす可能性を示唆した。韓国は近く米アラスカ州に代表団を派遣し、440億ドル規模の液化天然ガス(LNG)プロジェクトへの参加について協議する。トランプ氏が「本当に素晴らしい」と称賛したこのプロジェクトに、韓国はこれまで参加に否定的だった。