
最高潮に盛り上がった瞬間に放たれた
のぶの強烈な土佐弁セリフ
当時、千尋は僕が守ってやらなきゃと思っていたが、千尋のほうが体も頭も成長してかなわないと弱音をはく。ヤムは「シーソーみたいに」逆転したんだなと笑うが、いつかまた逆転する可能性もあると励ますのだった。でもその日は来そうにない。
家に戻ってくると、千尋にのぶを待たせたことを責められて、嵩はブチ切れる。
「優等生ぶりやがって」とついに勃発、兄弟喧嘩。
女中のしん(瞳水ひまり)が朝田家に来てヤムに助けを求めると、のぶが脱兎のごとく走り出す。「速い」という阿部サダヲの合いの手が絶妙だった。
激しい兄弟喧嘩。千尋は登美子(松嶋菜々子)を悪く言う。
「ずいぶん前に捨てたと思うちょったら急にまた戻ってきて母親面して」
そのとおり。誰もが思う登美子への反感を千尋は気持ちのよいくらいはっきりと言語化する。それを登美子が聞いていて。彼女はどう思っただろうか。
登美子の言いなりになっていると揶揄され、嵩はますますカッとなり、ふたりの喧嘩は止まらない。のぶは思わず割って入って嵩の頬をピシャリと叩いた。
「あんたなんかたっすいがーのすっぽんじゃ」
ここはこの回、最高潮に盛り上がるところだが、言ってる意味がわからない。「たっすいがー」は何度か出てきた「頼りない」という意味だが、「すっぽん」ってあのすっぽん?
千尋がこんなにも兄を思っていることに気づかない嵩をのぶは責めているのだが、嵩と千尋には複雑な感情があって、のぶはちょっと単純すぎるかもしれない。でも「たっすいがーのすっぽん」という方言がわからない視聴者にとっては、意味が抽象化されていいのかもしれない。
千尋は「わしはわしの行きたい道を行くだけや」と言っている。自分の道を選んだことで、結果的には嵩の苦手な勉強を強いることになっていて、大好きな兄にかなり迷惑を被らせているのだ。我道を行くことと他人への気遣いのバランスをとるのってほんとうに難しい。
ちなみに、気になるのでのぶのセリフの意味をチャットGPTに聞いてみた。
たっすい=「薄っぺらい」「コクがない」「頼りない」
がー=「〜の」(軽い接続語)
すっぽん=ここでは「すっぽんぽん」、つまり「裸」
を組み合わせた表現で、ざっくりいうと 「中身がなくて頼りないやつ」 を、強めにけなす言い方です。
ニュアンスとしては、「中身スカスカで、まるで裸みたいな情けないヤツ」という感じですね。土佐弁らしい、ちょっと痛烈な表現です!
ちなみに高知では「たっすいがは、いかん!」(薄っぺらいのはダメ!)という有名なフレーズもありますよ。
意味がわかるとかなりキツかった。やっぱり方言でよかった(わかる人にはキツイとはいえ)。