パリ大会で久保建英らを招集できず
オリンピックの微妙な立ち位置
スター選手の不在が響いたと分析したIOCは、年齢制限の撤廃をFIFAへ再び要求。拒否していたFIFAも最終的には折れて、1996年アトランタ大会から年齢制限のない、いわゆるオーバーエイジと呼ばれる選手を1カ国で最大3人まで加えられるルールが追加された。
両者の暗闘はまだ続いた。FIFAは2009年にオリンピック本大会の年齢制限を「21歳以下」に引き下げる方針を固めた。これにIOCは男子サッカーの競技除外や、出場国数の削減を打ち出してけん制。結果として23歳以下にオーバーエイジを加えるルールのまま、昨夏のパリ大会を終えている。
男子と比べて女子サッカーの歴史は浅く、女子ワールドカップの前身となる女子世界選手権が中国で初めて開催されるのが1991年。オリンピック競技にはアトランタ大会から採用された。男子を“差し出した”形で女子のオリンピック出場国数を16カ国としたFIFAのインファンティーノ会長は、ロサンゼルス大会以降をにらみながらこんなコメントも残している。
「ロサンゼルス大会を画期的なものにするための、実りある議論ができたIOCに感謝し、フットサルとビーチサッカーをオリンピックのプログラムに組み込むためにパートナーとして協力し続けたい」
フットサルとビーチサッカーは、ともにFIFAが主催する世界大会が創設されて久しい状況ながら不人気から抜け出せていない。この発言からはオリンピックの正式種目採用を契機に、両競技のステータスを浮揚させたい狙いが透けてくる。来年の北中米大会から出場国数が50%増の「48」になり、規模がさらに拡大するワールドカップとは対照的に、オリンピックは役目を果たしつつあると見ている可能性もある。
実際、サッカー界におけるオリンピックの男子サッカー自体も、微妙な立ち位置をたどってきた。大陸予選だけでなく本大会でも、出場チームが望んでも選手を呼べない状況が少なくなかった。8大