
加藤・ベッセント「日米為替協議」
「為替の目標水準の話はなかった」
米国時間の4月24日に、加藤財務相とベッセント米財務長官で行われた会談は、日米関税協議と並行して走る日米為替協議と位置付けられるだろう。
協議後に記者の質問に答えた加藤財務相は、「米国から為替水準の目標や管理の枠組みの話は全くなかった」と説明した。為替市場では、会談で米国側から「ドル高是正」の目標や日本が為替介入などを通じた円安の是正を求められるとの観測もあったが、そうした懸念はひとまず緩和された形だ。
だがトランプ大統領はこの会談の前日にも、日本が為替安を誘導している趣旨の発言をし、日米の貿易不均衡の一因に為替操作があるとの疑念は相変わらず持っているようだ。
貿易赤字縮小を狙って相互関税などの関税引き上げ策を打ち出したが、自国の金融市場までが急落、中国をはじめ各国の強い反発を受ける中で、トランプ政権は次の一手として「ドル安構想」を抱いている可能性はある。
日本に対して、関税見直し協議と絡めながら、今後、円買い介入や日本銀行の利上げなどの“是正措置”を求めてくる懸念はなお残っていると考えられる。