カリフォルニア州サニーベールでモーターを組み立てるコニファーの技術者アン・トラン氏カリフォルニア州サニーベールでモーターを組み立てるコニファーの技術者アン・トラン氏 Photo: Ian Bates for WSJ

 世界は中国のレアアース(希土類)に依存しており、中国はそれを貿易戦争の報復手段として繰り返し利用してきた。こうした依存から脱却する方法があるとしたらどうだろうか。期待が高まっているのが、レアアースの主な用途である電気モーターの分野だ。新たな種類の電気モーターはレアアースを全く必要としない。日常的に使用される鉄から作られた磁石を使用し、安価で製造が容易なモーターを開発する米新興企業コニファー(Conifer)は特に注目に値する。

 コニファーの技術責任者、ヤティーンドラ・デシュパンデ氏は長年、新興電気自動車(EV)メーカーの米ルーシッドの高級車に搭載されるモーターなど、世界最先端の電気モーターの設計に関わってきた。失敗に終わった米アップルのEV開発プロジェクトにも参加した。コニファー共同創業者のアンキット・ソマニ氏は、米IT大手のオラクルやグーグルでデータセンターの設計に携わった。

 共同でコニファーを立ち上げた両氏が見据えていたのは、既存の機械に組み込む数十億個の小型モーターに対する需要であり、現在、数十億人の主要な移動手段であるガソリン駆動の輸送車両を電動化する需要という、潜在的に巨大な市場だった。

 シリコンバレーを拠点とするコニファーで最高経営責任者(CEO)を務めるソマニ氏は「バッテリー分野には多くのエネルギーが投入されてきたが、電動パワートレインや電気モーターにはそれほどでもなかった」とし、「はるかに優れたものを生み出せるかどうか、一から見直してみたかった」と語る。