メガバンク・地銀・ネット銀を大解剖 [最新]銀行ランキングPhoto:PIXTA

上場している地方銀行は70社以上もあり、投資対象の絞り込みが難しい。そこで、連載『メガバンク・地銀・ネット銀を大解剖[最新]銀行ランキング』の本稿では、益出し余力やPBR(株価純資産倍率)などの指標を設定し、上場地銀全73社の「株価が割安な“金持ち地銀”ランキング」を作成した。益出し余力が十分にありながら市場への期待度が低い、投資妙味のある地銀はどこか。(ダイヤモンド編集部 永吉泰貴)

上場73地銀を3つの指標で評価
株価が割安な“金持ち地銀”を抽出

「地方銀行なんてどこも同じでしょ、と思われがちですが、それぞれ独自色があって全然違う。株式市場の認識と実態にギャップがある」

 そう話すのは、2022年に地銀の大株主となって話題になった、有名投資家の井村俊哉氏だ。同氏は中立的な立場で金融庁に制度改革を訴えるために地銀株を全株売却したが、当時、70行以上ある上場地銀から投資先を絞り込むために、地銀を多角的に分析していた。その中でも、井村氏が重視していた条件の一つは、地銀が持つ有価証券の含み益の水準だ(『著名投資家・井村俊哉氏が地銀株を全て売却した真意を激白!「憤りを感じた」と語る経営陣の対応とは』)。

 有価証券の含み益の水準は、「益出し余力」で測ることができる。益出し余力とは、銀行が保有する株式や債券などの有価証券の評価損益(含み損益)をコア業務純益で割り、銀行が本業で稼ぐ力の何倍の含み損益を抱えているかを示す。

 益出し余力の数字が大きいほど、現金化できる有価証券が潤沢にあり、将来のPL(損益計算書)へのプラス影響が期待できる。片や、過大な含み損を抱える地銀は売却損を計上する可能性も高い。つまり、益出し余力が大きいと純利益の上振れと株主還元が期待できるということだ。

 そこで、JAMP(日本資産運用基盤グループ)の協力を得て、25年3月期第1四半期決算を基に、上場地銀73行の益出し余力を算出。さらに、政策保有株連結純資産比とPBR(株価純資産倍率)を加えた3つの指標を設定し、全73社の総合得点を出した上でランキングを作成した。益出し余力が大きいにもかかわらず、PBRが低い地銀は、それだけ投資妙味があるといえる。

 果たして、1位となった地銀はどこなのか。次ページで公開する。