「言語化」の習慣づくりは
交換日記で

渋田 寮でのフロアマスターは、生徒20人に1人がつくということですが、これは企業のプロジェクトチームくらいの規模ですね。

西村 若手社員がフロアマスターを務めていますが、20人が見られる限界の人数だと思います。全員を把握しながら指導できる手厚さです。

渋田 寮生活では日誌を書くことや「デイリーダー」制度もあると聞きました。

西村 現在、中学生は、「フォーサイト手帳」という予定とともに思いを書くツールとして日誌を書かせています。全員が、交換日記のような形でフロアマスターとやりとりします。

「デイリーダー」は毎日誰かがリーダーとなり、朝みんなを起こしたり、消灯の管理をしたりと日課を運営するものです。リーダーは一日の終わりにフロアマスターと振り返りを行います。「時間内に集合できなかったので、もっと早く声かけすべきだった」と反省したり、「前回よりも大きな声が出せるようになった」と成長が促されたりします。

「管理職はコスパ悪い」「リーダーは損」な世の中で、校長先生が言うのをやめたNGワード渋田隆之先生 撮影:加藤昌人

渋田 まさに「言語化」の体験ですね。今の時代は生成AIを使いこなさなければならず、そのプロンプト作成という観点からも、文字化、言語化する能力は非常に重要です。

西村 はい。言語化という意味では、話すのも得意になりますし、面接にも強くなります。というのは、学園内で本当にたくさんのいろいろな経験をするので、表層的な志望動機ではなく、自分の志望や目標が、ひとつひとつのエピソードと結びついて説得力を持つようになる。

 自分の体験をもとに語れる「ネタ」が豊富なので、どんな質問にも対応できます。知識だけでなく、経験に裏打ちされた発言ができるのが強みです。