過去に関係を持った人から、「私は性加害を受けました」という被害者が出るかもしれない。当時の常識では「ノリ」で済んだ話が令和では「犯罪」ということは多い。また、職場でいろいろな人と接しているということは仕事上のトラブルやパワハラが問題視されるかもしれない。

 週刊誌の芸能人の不倫スキャンダルなどを見てもわかるように、こういう話をメディアにリークしたり、ネットに暴露したりするというのはすぐ身の回りにいる人だ。

 つまり、もしこれから11の旧宮家の男性が皇室入りをすると正式に決まれば、この男性たちの元恋人、疎遠になった友人、同僚などが一斉にメディアに「未来の天皇の悪い話」をリークする恐れがあるということだ。これまでは一般人ということで「ボツ」になっていた話が「公人」になることで掘り返されるということもあるだろう。

「だったら、そういうリスクがないように、生まれた直後から皇室の養子にすればいい」という人もいるだろうが、これは「人権」の観点からドン引きする、というか痛烈に批判をする国民もいるはずだ。

 ご存じのように天皇陛下や皇族は「基本的人権」を制限される。税金を払わなくていい代わりに、戸籍も住民票も投票権もない。職業選択の自由もないし、何が好きとか嫌いという発言もしてはいけない。皇籍離脱しないと、自分の好きなように生きる自由がないのだ。

 皇族と結婚する人は、こういう人権が制約される立場だということを理解したうえで自分の意思で飛び込むが、生まれた直後や幼い時に皇室に養子に出されるような場合、その子どもはなにもわからないまま「人権」や夢が奪われる。養子に出されなければ、普通の国民として好きなことをして、どこにでも自由に行動できたのに、である。

「そんなもん、2685年続く男系天皇を守るためにはしょうがないし、旧宮家は天皇家を守るのが義務ってことになってるんだから」という保守の方もいるかもしれない。

 しかし、どういう言い訳をしたところで、この子どもが「男系天皇を維持するための人身御供」になっているという事実は否定できない。中には成長するにつれて「皇室の養子」という立場を受け入れられず、心身を壊す人もいるかもしれない。そして、そういう「天皇制を守るために年端もいかぬ子ども皇室に捧げる」という図式に嫌悪感を抱く国民も少なからずいるはずだ。