通販など大手荷主が
離反するリスクも

 今回、許可取り消しの対象となる「緑ナンバー」のトラック約2500台は、全国約330局の郵便局で使用しており、比較的大量に荷物を出荷する通販荷主の集荷や、地方における近距離の郵便局間の輸送などに従事している。

 日本郵便では「荷物に関する引受・輸送・配達には影響はない」として、「一部報道でゆうパックの廃止を検討していると思われる報道があるが、そのようなことは一切ない」と否定している。

 ただ、影響は軽微とは言えない。日本郵便は2500台のトラックが担っていた業務を、子会社である日本郵便輸送(JPT)やJPロジスティクス(JPL)に委託するほか、「子会社化したトナミ運輸や、業務提携している西濃運輸にもお願いしていく」(関係者)方針だという。

 しかし、ドライバー不足が深刻化しつつある状況下で、これらの事業者がどこまでカバーできるかは不透明。また、仮に“宙に浮いた”2500台のトラックやドライバーを100%子会社であるJPTやJPLに移管・転籍させれば、行政当局から“処分逃れ”と見做されるリスクもある。「今後、局間輸送などで支障をきたせば、ゆうパックのリードタイムが延長される可能性もあり、通販など大手荷主が離反する可能性も否定できない」(同)と語る。

軽トラ・軽バン3万2000台の
処分次第で機能不全の可能性も

 加えて、約3万2000台を保有する軽車両(軽トラック、軽バン)に対する処分も逃れられない状況だという。国交省は数年前に貨物軽自動車運送の安全対策を強化し、一般トラックと同様、点呼を義務付けた。違反した場合、許可取り消し処分はないものの、10日から未実施件数の2倍の日数の車両使用停止という罰則を受けることとなる。

 現時点で日本郵便のこの部分における違反状況は明らかになっていないが、仮に大半の軽車両が車両使用停止となれば、ラストワンマイルにおける業務の遂行が一時的に機能不全になる可能性もある。

 日本郵便はここ数年、減少が避けられない郵便に代わり、ゆうパックやゆうパケットなどの「荷物」を成長の軸に据えた事業戦略を進めてきたが、今回の事態でその戦略の変更を余儀なくされる可能性も否定できなくなってきた。

物流の専門紙 カーゴニュース https://cargo-news.online/ 「オンライン版」もスタートしました!