ヒスタミンを高濃度に含む食品を食べると
唇や舌先に刺激を感じることがある

 さて加熱や真水で洗うなどでも防げないのが、ヒスタミン食中毒。ヒスタミンとはサバのほか、マグロやカツオなど主に赤身魚やその加工品などで生成される化学物質で、加熱しても減らないのだ。一昨年の6月には奈良市の保育園でヒスタミン食中毒が発生し、ニュースになった。

 ヒスタミンが多く含まれた食品を食べると、直後から1時間以内にじんましんや頭痛、発熱などの症状が出ることがある。

「予防するポイントは、ヒスタミン産生菌はエラや内臓に多く存在するので除去してあるものを購入するか、購入後になるべく早くそれらを除去すること。また気温が30℃を超えると繁殖しやすいので、暑い時期はスーパーで購入後に保冷バックで運び、家に持ち帰ったら速やかに冷蔵庫へ。またヒスタミンを高濃度に含む食品を口に入れると、唇や舌先に通常と異なる刺激を感じることがあるので、その場合は食べずに処分しましょう。外食でも同じです」(遠藤氏)

 暑い時期に繁殖する細菌は、全般的に「高温多湿」の環境を好む。だからなるべく食材の持ち運び時、保存時、調理時にそういった状況を作らないことだ。

牛乳が傷んでいるかは
電子レンジ加熱でわかる

「牛乳」も運搬中の温度上昇と振動でダメージを受けるという。管理栄養士の小山浩子氏が牛乳の傷んだサインを教えてくれた。

「まず色を確認してください。腐敗が進むと、ほんの少し黄色っぽくなります。次に、においをかいでみてください。開けたてのフレッシュな状態の香りを記憶しておくと、変化を感じられますよ。一般的には腐敗が進むと、酸っぱいにおいがします。そしてスプーンで混ぜてみて、とろみがあったり、スプーンにブツブツが付いている場合も危険な状態です。また、このどれにも当てはまらないけれども心配という人は、耐熱容器に牛乳を100ml注ぎ、電子レンジで1分加熱を。ブツブツと牛乳が分離していたら、腐敗しているレベルだと判断してください」

 夏場は賞味期限内であっても、開封後2日以内に飲み切ること、また冷蔵庫から出しっぱなしにせずコップに注いだらすぐに冷蔵庫に入れる習慣も大切という。特に冷蔵庫の扉付近は温度変化が激しいので気をつけたい。

 肉、魚、牛乳と書いたが、同じくタンパク質の「卵」は「殻」が危ない。

「卵の殻にはサルモネラ菌が付着していることもあります。よくすき焼きでは卵を殻のままお皿に入れ、そのお皿に卵を割り入れることがありますが、食中毒発生リスクがないとはいえません」(望月氏)

 卵が入っていた皿で、卵を割り入れる――やってしまいがちなだけに気をつけたい。

 望月氏は“もったいない精神”で食べた賞味期限切れのそうめん(乾麺)で食あたりしたという。次回は盲点である穀物、野菜の食中毒に迫る。

<重要ポイント!まとめ>
・加熱不十分な鶏肉を食べると、カンピロバクターに感染し、難病「ギラン・バレー症候群」を引き起こす恐れあり
・魚介類に寄生するアニサキスによる食虫毒を防ぐには、船凍品か解凍された品を選ぶと安心(もしくは加熱を)
・ヒスタミン食中毒予防には、魚のエラや内臓は早めに除去し、適切な保管を
・緑茶を飲むことは食中毒予防になる(腸管出血性大腸菌O157が死滅したという報告あり)
・牛乳の傷んだサインは、色、におい、電子レンジ加熱でわかる