
──今年4月にオープンした「おしごとりっぷ」とはどんなサービスですか?

木村 繁忙期の人手不足に悩む近畿地方の旅館や農家と、地域の暮らしや文化に関心のある全国の旅行者を「地域のローカル情報」と「短期アルバイト」でつなぐプラットフォームです。特徴は、全国から集まった旅行者が数日~2カ月間、旅先で働きながら地域の人々との触れ合いを楽しめる点。例えば、農家での収穫作業、旅館での配膳・清掃、産直市場での接客・バックヤード業務など地域密着のアルバイトを見つけることができます。勤務時間は、「朝3時間だけ」「早朝と夜の計8時間で、昼間に6時間休み」など。休み時間や休日の過ごし方は自由です。つまり、旅行者は現地で旅行代を稼ぎながら、場合によっては宿も確保した上で、その地域での旅を楽しめる仕組みです。
──事業者にとっても地域外のワーカーを確保できるメリットがあるわけですね。
木村 はい。まずは短期アルバイトですが、これをきっかけとした地域交流を経て地域を知ってもらうことで、ゆくゆくは就農や宿泊業への就職などにもつながればと考えています。
事業者の方に利用していただきやすくするため料金体系は二つ用意。求人記事の作成・掲載は無料で、採用が決まったときに報酬を頂くタイプと、応募があったときに報酬を頂くタイプです。
──このビジネスを始めるために起業されたそうですね。経緯を教えてください。
木村 きっかけは、コロナ禍にGoToトラベルを利用して、ローカルな観光地を訪れたことです。行ってみると魅力的な観光資源がある上、宿泊先もホスピタリティーにあふれ、素晴らしい体験ができました。当時、有名観光地はどこも予約が取れず人であふれていました。では、なぜここはお客さまが少ないのか。宿のオーナーさんと話すと、若い人が地域から出て行ってしまい、情報発信ができていないというのです。