就労継続支援事業所が、手作業で作り上げる自家焙煎コーヒーが人気コロンビア、ブラジル、マンデリン、グアテマラの4種類がそろう。ドリップ(1袋200円)と焙煎粉・焙煎豆を販売。贈答用にも対応

 二つ目が、事業所ブランドの製品であるため、売れた際には職員と利用者が一緒に喜べること。

 三つ目が、工賃向上につながる点だ。

 にじきゃり珈琲では、売り上げから経費を差し引いた金額が工賃として支払われる。初年度は月額1万円未満だった同事業所の平均工賃は約2万円まで伸長。「利用者の自信になり、社会参加に向けた後押しになっています」と古江氏。

 販売促進に向けては、自社サイト、市内の美容室、公共福祉施設やアンテナショップでの委託販売、福岡県庁舎などで対面販売を行う他、ふるさと納税でも取り扱う。25年5月からは、リピート客の獲得を目指して、企業向けの「にじきゃり珈琲手土産定期便サービス」をスタートした。取引先などへの手土産として値段も手頃で日持ちがするといったメリットがあり、「企業の社会貢献活動の可視化を実現するツールとしてもご好評いただいています」と古江氏は言う。

動画編集を担う
二つ目の事業所も開設

 24年12月には、二つ目の事業所として、主に動画編集の作業を担う「にじいろキャリア雑餉隈(ぎっしょのくま)」を開設。ユーチューブチャンネル「障がい福祉チャンネル」編集の他、企業からの広告制作を受託するなど仕事の幅を広げている。

就労継続支援事業所が、手作業で作り上げる自家焙煎コーヒーが人気 「にじいろキャリア雑餉隈」では動画編集を担う。経験豊富な職員が利用者の仕事のスキルアップから、生活の悩みまでしっかりサポート

 古江氏は就労継続支援の次のステップとして、一般企業への就職を支援する就労移行支援事業所の開設を見据える。まだ構想段階ではあるが、「就労移行支援事業所を利用し、就職者が出てくれば、利用者が将来をイメージしやすくなります。勇気を持って次の一歩に踏み出すきっかけになればと考えています」と言う。

 その支援の輪を広げるべく生まれた、にじきゃり珈琲。一企業が手軽に始められる社会貢献の一つとして、今後の広まりに期待したい。

(「しんきん経営情報」2025年6月号掲載、協力/福岡信用金庫

事業内容:就労継続支援B型事業所
従業員数:11人
所在地:福岡県福岡市南区弥永1‐35‐5 サニーピア弥永1階
電話:092‐593‐6161
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