「頑張れ」が逆に子どもを傷つける?無意識で「子ども依存症」にかかる令和の親たち写真はイメージです Photo:PIXTA

「頑張れ」「あなたならできる」そんな励ましの言葉が、かえって子どもを追い詰めてしまう。親の願いが重すぎて、子どもの心がすり減ってしまうからだ。「子ども依存症」と呼ばれる子どもに期待しすぎてしまう病、あなたも患っていませんか?※本稿は、加藤諦三『人はどこで人生を間違えるのか』(幻冬舎新書)の一部を抜粋・編集したものです。

妻としては100点なのに
母としては0点だった

 子どもをいじめている「子ども依存症」の親は案外多い。いじめていることに親たちは気がついていない。

 どれだけ「現実の自分」と「理想の自分」の乖離(かいり)が激しいかは、人によって違う。乖離が深刻であれば、例えば自分に対する怒りもまた激しい。

 そしてこの乖離に苦しむ人は、真の意味での人間関係を築けない。家に帰属意識を持てない。「私たち」という感情が育成できていない。自分の内面の葛藤に気をとられているからである。

 内戦をしている国が、他国と良い関係を持つことはあり得ないということを考えれば理解できるであろう。心の葛藤に苦しむ人は、国で言えば内戦状態である。外国のことなど考える余裕はない。

 私の祖父は、日本の憲政確立のために生涯を捧げた政治家であった。祖母は妻としては100点満点に近い女性だったが、母親としては0点に近かった。

 祖父は確か12回当選したが、天下国家を論じるだけで選挙の苦労はなかったようである。祖母は選挙民のことは熟知しよく理解していたが、子どものことはよく理解していなかったようである。