
家族のやることなすことに腹が立つ、隣人の言動に苛立つ、同僚の立ち回りが癇に障ってたまらない……そんなイライラが引き金となって殺人や放火といった凶悪事件に至るケースは後を絶たない。負の感情を抱えやすい人と、そうでない人は、心の持ちようにおいて何が違うのか?※本稿は、加藤諦三『人はどこで人生を間違えるのか』(幻冬舎新書)の一部を抜粋・編集したものです。
思うようにいかないと
味方にまでイライラする
新商品を出しても出しても、ヒットしない。それなのに、同業他社は次々とヒット商品を出している。そこで企画部長は焦っている。ヒット商品を出せない自分にイライラしている。
そこで部下の言動はもちろん、仲間や家族や果てはテレビの解説者の言葉にもイライラする。それが「怒りの外化(編集部注/自分の中にある問題を、外にある他人や状況の問題だと認識することで心を守ろうとすること)」である。
書いても書いても、思ったように本が売れない。そこで大ベストセラーを書けない自分にイライラしている。するとまわりの人の言動にイライラする。自分のことを心配して、「仕事を少なくするように」と言ってくれる人にさえイライラする。自分の体のことを考えて忠告してくれる人にさえイライラする。
最後には会う人、誰に対してもイライラする。
本当のイライラの原因は、自分が書いた本が思ったように売れないということである。
それが続くと、今度は体調を崩す。だいたい体調を崩す時とは、頑張っているのに思ったようにことが運んでいない時である。
あるいはそのイライラを静めるためにイライラの感情を抑圧し、その結果、反動形成として表れるのが「増大する従順」である。「外で子羊、家で狼」という夫である。