夢を諦められない親の思いが
子どもを縛ることになる

「頑張れ!」が子どもに励みではなく、逆にプレッシャーになるのは、「頑張れ!」と言う母親が子どもに結果を期待しているからである。

 算数の成績が優になるとか、親戚の子よりも有名な会社に入るとか、何かを期待して「頑張れ!」と言うから、子どもにはプレッシャーになるのである。

 プレッシャーをかける親の方も、深刻な劣等感を持っている。親の方も自分がなりたい自分になれなかったのである。しかもそのことを自分が認めていない。

「頑張れ」が逆に子どもを傷つける?無意識で「子ども依存症」にかかる令和の親たち『人はどこで人生を間違えるのか』(加藤諦三、幻冬舎新書)

 例えば自分は、本当はバレリーナになりたかった。しかしなれなかった。そのことを認めていない。自分には才能がないと認めていない。そして「自分はバレリーナなどにはなりたくなかった」と無理に意識している。「自分はバレリーナなどにはなりたくなかった」と突っ張っている。

 しかし、心の底では今でも「自分はバレリーナになりたかった」と知っている。そして、無意識には自分には才能がないことを知っている。

 イソップ物語の「酸っぱいブドウ」の話である。キツネはブドウを取れなかった。そこで「あのブドウは酸っぱい」と言った。

 このキツネタイプの親が子どもにプレッシャーをかける。何度も言うように、子どもにプレッシャーをかけることで、親は自分の心の葛藤を解決しようとしているのである。