2024年度の第2四半期決算は増収増益と好調が続くセガ。特集『50兆円をゲットだぜ!日本のゲーム』(全25回)の#11では、ソニーでのプレイステーションの立ち上げを経験した後、米ディズニーなどを経て24年4月に社長に就任した内海州史氏のインタビューをお届けする。「IP(知的財産)の海外への積極展開で、世界市場でも上位企業を狙う」と意欲を示す内海社長。世界的に人気のタイトルやIPを今後どのように伸ばしていくのか。(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)
IPを多方面展開するトランスメディア戦略で
もう一度セガをグローバル企業にする
――2024年4月から社長に就任しましたね。この1年で何をしてきましたか。
「もう一度セガをグローバルな会社にする」取り組みをしてきました。日本向けに任天堂とソニーでまずタイトルを出し、後からグローバルやPCに対応という、これまでのやり方を変え、グローバルにマルチプラットフォームで同時に出す方向にかじを切りました。さらに、米アップルのサブスクリプションのゲームストアなどの新たなビジネスにも積極的に取り組みました。
日本のゲーム市場は相対的に小さくなってきている。その一方で、ゲーム販売におけるデジタル化が進み、タイトルを世界に流通させるハードルが下がっています。そして、セガは昔からグローバルでの認知が高いIP(知的財産)が多く、世界のゲーマーから非常に愛していただいています。実は「龍が如く」のような、日本的なタイトルも、現在はその7割が海外で売れているのです。
ただ、IPへの投資はこれまで足りていなかった。だから、今後はどんどん進めていきます。
ゲームは今や30億人がリーチする「文化」になったといわれています。ユーザーがゲームの中に出てくるファッションのまねをし始めたり、キャラクターの缶バッジなどを着ける人が出てきたりする。IPのそうした周辺まで取り込み文化まで提供しながらビジネスをやっていくことを、セガでは「トランスメディア」戦略と呼んで注力していきます。
ソニーでかつてプレイステーションの立ち上げを経験し、セガで米国事業を担当した後、ディズニー、ワーナーミュージック・ジャパンなどを経て再度セガ入りし、24年から社長を務める内海氏は、「セガが持つ、国際的にも評価の高いIPは再投資をすることでもっと伸ばせる」と主張する。具体的にどんな伸ばし方を考えているのか。IPの隣接市場への展開方法に、大手の新作制作が減っている問題への秘策、さらにモバイルやライブサービスゲームといった成長事業の戦略――。23年に1000億円の買収で話題になった、モバイルゲーム「アングリーバード」の開発元であるフィンランドのロビオ・エンターテインメントをどうセガで生かしていくかについても語ってくれた。