それぞれの脳内整理棚は、さらに「意味別」に細かい区画があります。ちょうど郵便物仕分け棚が都道府県分47個あり、各都道府県の棚がそれぞれさらに細かい市町村の区画に分けられているイメージです。

 そこでこの記事では、脳で長期記憶が保存される領域を「脳内整理棚」と呼ぶことにします。

 情報が脳内関所で仕分けられた後、脳内整理棚の一区画に格納される瞬間が「分かった!」ということなのです。

 逆に、この脳内関所で仕分けできないために脳内整理棚に保存できない情報が「分からない」「解せない」「腑(ふ)に落ちない」ということなのです。

「脳内関所」が行う
仕分け作業の基準とは?

 では「分かりやすい説明」とは何かを改めて考えてみましょう。

 先ほど、分かりやすい説明とは、情報が脳内関所を通過しやすい説明だと書きました。すなわち分かりやすい説明とは、脳内関所での意味の吟味、仕分け作業が円滑に処理されるように情報を送ることなのです。

 したがって説明上手になるには、この脳内関所の性質や、どのような基準で仕分けしているかを知っておくことが大切です。

 脳内関所が外界情報をどのような基準で仕分けしているのか、それを大雑把にまとめれば、次のような仕分け作業が行われていると考えられます。

脳内関所の作業項目
(1)情報の大きさをチェックし、受け入れるか否かを決める。

(2)たくさんある脳内整理棚の中から適切な一個を選ぶ。

(3)情報のムダを省き整理する。

(4)情報が論理的であるかチェックする。

(5)情報を入れる脳内整理棚内の最終一区画を決定する。

「サイズ審査」通過のために
情報を一区切りにする

 仕分け作業の(1)は「サイズ審査」です。入ってくる情報の「一区切り単位」のサイズが、脳内関所自体のサイズより大きいと、脳内関所に入ることができません。