これを私は「ビール瓶の原理」と呼んでいます。脳内関所は、ビール瓶の小さな口で、大きな瓶の中は脳内整理棚です。水(情報)をビール瓶の口(脳内関所)に乱暴に注いでも、ビール瓶の中(脳内整理棚)に水が効率よく入っていきません。水をビール瓶の中に注ぎ込むには、小さな口から水があふれないように工夫し、慎重に行わなければなりません。

 脳内関所は記憶保持時間も記憶容量も小さいのです。記憶容量は、文字にして10文字足らずです。1回に空で覚えられる電話番号の長さを考えれば納得がいくでしょう。

 たとえば5484965734という10桁の数字は脳内関所のサイズぎりぎりなので扱いにくく感じます。しかし、ハイフン(ー)によって、その一区切りのサイズを54ー8496ー5734のように小さくしてやると、脳内関所が扱いやすくなります。

 他にも、情報の「一区切りのサイズ」を理解する上で日常的な分かりやすい例では、一文の長さがあります。句点で区切られる一文の長さが異常に長いと理解するのに苦労します。より短い文に区切られていると理解しやすいのは、脳内関所のサイズ審査のためです。

情報を仕分けして
入るべき「脳内整理棚」を決定

(2)の「適切な脳内整理棚の選定」では、入ってきた情報について、まず大きなカテゴリーが決定されます。つまり、いくつもある脳内整理棚の中から、その情報の送り先として、もっとも適切な1個の整理棚を選び出し、準備します。

 この作業を具体的にイメージするために、先ほど紹介した郵便物仕分け棚を思い出してください。郵便物仕分け用の大きな整理棚が都道府県別に47個あるわけです。

 情報は一通の郵便物です。(2)のサイズ審査を通過し、脳内関所に入ることができた後、最初に行われるこの仕分け作業(2)は、一番大きな仕分けである都道府県の決定です。

 ここで注意していただきたいのは、本物の郵便物には住所が書かれていますが、脳内に入ってくる情報には住所が書かれていないという点です。そこで脳内関所で、情報を吟味し、都道府県を決定するのです。