音声ガイダンスが流れたり、LINEのビデオ通話に誘導されたりすることも

 警察ではなく、成田空港の遺失品係を名乗る電話も激増中だ。

 人間が電話を掛けてくることもあれば、自動音声ガイダンスが流れる場合もある。「こちら成田空港国際警察署生活安全課遺失物センターです。あなたのお名前が記載されている遺失物が届いております。まだお受け取りいただいていない場合は1を押して担当部署までご連絡ください」といったメッセージが流れ、「1」を押すと人間につながる。

 記事を読んでいるだけだと、こんな怪しい電話に引っかかるほうがおかしい、引っかかるわけがないと思う人もいるかもしれない。しかし、警察を名乗られると、焦ってしまって普段より冷静な判断ができなくなる人も多い。加えて、犯人側はあの手この手で追いつめてくる。

 例えば、事情徴収すると言ってLINEのビデオ通話に誘導し、偽造した証拠書類を提示してくるのだ。画面に映る人物は警察の制服を着て、帽子もかぶっており、警察手帳のようなものを見せてくる。ケースによっては、ニセの逮捕状を見せてくることもある。一般の人であれば、警察手帳や逮捕状の偽造を見破ることは難しいだろう。

「入国管理局です」「遺失品係です」成田空港から電話がかかってきたら要注意なワケLINEのビデオ通話で偽の警察手帳などを提示して信じさせる(引用元:警察庁サイト

 それでも疑うようなそぶりを見せると、「では上司に代わります」や「この件は検察に引き継ぎます」などと、別の人物に引き継ぐこともある。複数の人物が登場し、あたかも本物の捜査が進行しているかのように演出することで、被害者の疑念を砕いていくのだ。

本物の警察署、交番の電話番号を偽装して電話をかけてくる

 さらに怖いのが、発信者の電話番号を偽装すること(参考記事)。警察庁は2025年3月25日、本物の愛知県警察本部の代表電話番号(画像参照)から、「あなた名義の口座が不正に開設されており、あなたも資金洗浄事件の容疑者になっている」と詐欺電話がかかってきたと公表した。ビデオ通話で顔写真付きの警察手帳を提示し、「口座の資金を全て確認する必要がある」と言われたという。

「入国管理局です」「遺失品係です」成田空港から電話がかかってきたら要注意なワケ発信者の電話番号を偽装している画面(引用元:警察庁サイト)

 以前は、電話番号を検索すれば、詐欺情報が共有されていたので対処できたが、本物の警察本部の番号が表示されてはたまらない。どうやって偽の番号を表示させているのかはセキュリティの関係上明らかにされていないが、海外からの電話番号を任意の番号に変更して表示可能だ、ということは覚えておこう。