警察だと信じさせたあとの被害~250万円奪われた人も

 事情徴収までこぎつけたら、次はお金を奪いに来る。主流の手口は、口座の資金が犯罪に使われているかどうか確認するので、一度警察(犯人)の口座に全額振り込ませるというものだ。躊躇していると、「無実なら後で全額返金される」「無実なら身の潔白を証明するために協力しなさい」「あなたの資産を保全するため」などと言ってくる。

 愛知県警本部をかたった電話の事例では、被害者は250万円を振り込んでしまった。その後、愛知県警本部に電話をかけて確認したところ、詐欺が判明したのだ。

 銀行振込以外にも、仮想通貨ウォレットへの送金やギフトカードの購入を指示してくることもある。被害者が不審に思い始めると、「この件は他言しないように、家族に話したりすれば逮捕せざるを得ない」などと脅してくる。

 兵庫県の事例では、口座売却への関与や逮捕状の発行などを口実にして被害者をホテルに宿泊させた。外部との連絡を連絡を絶たせた上、200万円を奪い取った。このケースでは、警視庁の偽サイトを用意し、偽造した逮捕状も見せられたという。

「入国管理局です」「遺失品係です」成田空港から電話がかかってきたら要注意なワケニセ警察官からのビデオ通話画面(引用元:警察庁サイト)

「裸になれ」「入浴・トイレ中もビデオ通話を切るな」などの脅迫も

 セクストーション(性的脅迫)をしてくることもある。タトゥーを確認する身体検査と称して、ビデオ通話で裸になることを強要し、録画した動画をばらまかれたくなければ金を払えと脅迫して来るのだ。他には、逮捕しない代わりに監視すると言い、ビデオ通話を24時間接続させ、トイレや入浴中の映像を送信させる被害も発生している。

 警察をかたるこうした詐欺電話は、ほぼすべてが携帯電話にかかってきている。年代別の認知件数では30歳代はもっとも多く、20代が次に続く。とはいえ、40代以上は1件当たりの被害額が1000万円以上と高額化しており、幅広い年齢で深刻な被害が出ている。