米国による研究開発予算の大幅削減と高度人材の移民政策見直しは、人材主導のイノベーション(技術革新)という同国最大の経済的優位性の一つを脅かしている。その恩恵を受けるのは世界の他の国々だ。第2次世界大戦以降の連邦政府の資金援助は、米企業がコンピューティング・宇宙探査・医薬品分野の最先端を支配することを後押しし、米国に経済的な追い風をもたらしてきた。研究者やエンジニア、起業家を目指す世界中の人々にとって米国は憧れの目的地となった。しかし今、その状況が急速に変化している。英科学誌ネイチャーが今年3月に米国の1600人超の科学者を対象に実施した調査によると、その4分の3が国外移住を検討していることが明らかになった。回答者は主な理由として、科学研究とその実践者に対するトランプ政権の敵対姿勢を挙げた。