選挙の皮肉?鉄子(戸田恵子)の叫び

羽多子は嵩はやさしいから次郎(中島歩)に気兼ねしているのだと思いやるが、嵩は次郎よりも千尋(中沢元紀)のことを気にしていた。次郎の立場……。
千尋ののぶを思う強い気持ちにはかなわない。それで告白する勇気が出ないでいたのだ。軍国主義の思い出はおもしろくできるが、千尋の話はそうできない。やっぱりまだ戦争は終わっていないのだ。
のぶは東京で薪鉄子(戸田恵子)の手伝いをはじめる。
事務所にのぶが来たとき、鉄子は「国会議員いうがは選挙中は国民のためと耳にたこができるばあ言いいうくせに当選したら自分のためにしか働かんがやき!」と怒っていた。現実世界ではちょうど選挙が終わったばかり。なんだかとっても皮肉に聞こえる。
鉄子につれられてさっそく街へ活動に出たのぶ。鉄子は市民を前に、飢えた子どもたちの苦境は戦争を引き起こした大人の責任だと力強く演説する。戦争は終わってもその影響はまだ大きく残っている。
とても忙しそうに動き回る鉄子についていくには、食事をする時間もない。事務補助員の世良則雄(木原勝利)は日本一食べるのが早い。
のぶはトタンでできた掘っ立て小屋を住まいとして貸してもらえた。これまで住まいに困ったことのないのぶが、いきなりこんな掘っ立て小屋みたいなところでひとり暮らしをするなんて大丈夫であろうか。
今田美桜が輝く瞬間はこんな演技だ!
のぶは浮浪児の見回りを担当することになった。そこでアキラ(番家玖太)が盗みの容疑をかけられているところを目撃。アキラとは以前、取材でのぶが東京に来たとき、カメラをすった少年である。浮浪者のいるところに八木(妻夫木聡)あり。八木はアキラを助ける。
のぶが「月刊くじら」の嵩の四コマを見せると、八木の表情がほんの少し和んだ。妻夫木聡のかすかな表情の変化が見事。
八木の表情の変化をのぶは見逃さない。